薬を使わない薬剤師の“健康自立ブログ”

人には自分自身で病気を治す力が備わっている

人には自分自身で病気を治す力が備わっている


ここまで、高齢になると薬が増える理由、そしてなかなか薬を減らすことができず、薬の服用をやめられない理由について説明してきました。なかには必要な薬もありますが、「その薬は本当に必要なのか」と一度考えてみることは重要だと思います。

私がセミナーや講演会などで繰り返しお伝えしているのが、人には自分自身で病気を治す力が備わっているということです。

「人間は自らのなかに100人の名医がいる」

西洋医学の父であるヒポクラテスの言葉とされています。100人の名医とは、私たちにもともと備わっている自然治癒力のこと。
病気は自分の力で治すものであり、医師や薬はその手助けに過ぎないのです

ほとんどの病気は、薬では治すことができません。薬はあくまでも症状を抑えているだけだからです。

薬は必要なときに使えば本当に役に立つ


もちろん、私はすべての薬を否定しているわけではありません。薬は必要なときに使えば本当に役に立ちますし、薬のおかげで助かった命や、治癒する病気もたくさんあります。

例えば先天的な病気。日進月歩の医療において、先天的な病気に効く薬は次々と開発されています。また、ウイルスや細菌などが原因の感染症や伝染病といった急性の病気にも、薬は効果を発揮します。今世界中を農場させているエボラ出血熱のように、その薬やワクチンの開発が待たれている病気もあります。

病気ではありませんが、交通事故など救急車で運ばれるようなケガも同様です。目の前で血を流して倒れている患者さんに、「止血剤は血栓をつくりますから、止血剤を使うのはやめましょう」などという人はいないでしょう。メリットがリスクを上回る場合は、薬を使うべきです。

急性の薬が有効に働くのは「症状を抑えてくれるから」です。ここでも見逃してはならないのは、薬は病気を治しているわけではないということ。あくまでも症状を抑えているだけなのです。ただし、急性の病気にあっては、この「症状を抑える」ことがとても有効です。

つらい症状を抑えることで自身が持っている免疫力・自然治癒力を最大限に働かせて病気を治すことにつながるからです。

生活習慣を変えることで減らせる薬


では、高血圧や糖尿病などの慢性の病気はどうでしょうか。
薬を飲んだら、急性の病気のときと同じように症状を抑えることはできます。でも、薬を飲むのをやめたら――また症状が出てきてしまいます。慢性の病気は、薬を飲むだけでは治すことができません。

かつて調剤薬局に勤務していた頃の私は、何の疑問も持たずに「血圧の薬とは一生のおつき合いですからね。気長に続けましょうね」などと言っていました。

でも、考えてみたらおかしな話です。「薬と一生のおつき合い」ということは「飲むのをやめてしまったらまた血圧は上がってしまいますからね。あなたは薬なしでは生きられませんよ」と言っているのと同じことだからです。

「感染症であればウイルスであったり、交通事故であれば車であったり、その原因は「外」にあります。しかし、いわゆる生活習慣病などの慢性の病気の原因は「内」、つまり自分自身にあります。加齢による数値の変化もありますが、多くはそれまでの自分の生活習慣から来ているのです。

生活習慣を変えることで減らせる薬は、自分にとってムダな薬であるということもできます。

繰り返しますが、自分の最高の名医は自分です。それでもあなたは、何も考えずに薬を飲み続けますか。

(宇多川久美子著書:『薬は減らせる』より抜粋)


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