「喫煙者はタバコ依存だからやめられない」は本当?
「タバコがなかなかやめられないのは、依存症の一種だからだ」と、よく言われます。
あなたの周りにも、何度も禁煙とリバウンドを繰り返す人がいるのではないでしょうか。
自分ではなかなかやめられないというので、薬局ではニコチンを含んだガムやパッチなどの禁煙補助薬が売られていますし、病院の禁煙外来も盛況のようです。
でも、タバコが依存症だからやめられないというのは、本当でしょうか?
以前、60代の女性から聞いた話です。
その女性のご主人は、40年間にわたる喫煙者で、いくらやめてくれと頼んでも「タバコをやめるくらいなら、死んだほうがましだ」と言って、やめてくれなかったそうです。
ところが初孫ができて、その孫を抱こうとしたら、お嫁さんに「お父さんはタバコを吸いますよね。抱っこはやめてもらえませんか」と、拒否されてしまったのです。
すると、あれほど言ってもやめなかったタバコをピタッとやめ、それ以来、孫が3歳になる現在まで一本も吸ってないそうです。
こんな話もあります。
その女性のご主人も、やはり何十年間にもわたる喫煙者でした。
でも、「デスクワークでストレスが溜まるから、タバコを吸わないとやっていられない」と言うので、無理にやめさせるのはかわいそうだと思って、何も言わなかったのだそうです。
ところが、定年退職して家にいるようになっても、タバコを吸っているのを見て、堪忍袋の緒が切れて、「仕事が原因だというから何も言わなかったけれど、仕事をしなくなっても吸っているじゃないの。タバコをやめれないなら出て行って!」と言ったのだとか。
すると、どうなったと思いますか?
そのご主人、ピタッとタバコをやめたのだそうです。
これって、依存症ではないですよね。
依存症ならば、孫を抱きたくてもタバコはやめれないし、家から追い出されてもタバコはやめれないはずです。
やめられるということは、単に生活習慣の問題だと、私は思います。
何十年も吸っているから、手持ち無沙汰だから、口寂しいから、吸っているだけではないでしょうか?
テレビや新聞で、「タバコは依存症です。禁煙外来に行きましょう」とキャンペーンを張るから、「やっぱり依存症なんだよ。やめられないはずだ」と、かえって吸うことを肯定してしまうとしたら、皮肉なものです。
一旦破壊された肺胞は元に戻らない
タバコを吸うと肺がんになるリスクが高いことは周知の事実ですが、では、そのほかにどのような害があるかご存知でしょうか?
がんならば、肺がんだけでなく口腔・咽頭がん、喉頭がん、食道がん、胃がん、膵臓がん、膀胱がん、子宮頸がんなども、タバコによって発症するリスクが高くなります。
これらの臓器は、煙とともに吸い込んだ有害な微粒子の通り道だからです。
また、歌手の和田アキ子さんや落語家の柱歌丸さんが罹患したことで知られるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)も、その1つです。
COPDでは、有害な微粒子によって気管支が炎症を起こし、空気の通り道である気道が狭くなります。と同時に、酸素を取り込み二酸化炭素を排出する場所である肺胞が破壊されて、ガス交換ができなくなります。
そのため、強い息切れを起こしたり呼吸困難に陥ったりしてしまうのです。しかも、一旦破壊された肺胞は元に戻りません。
さらに、動脈硬化や高血圧、糖尿病、脳卒中、心筋梗塞、骨粗鬆症、ぜんそく、肺炎、うつ病、そしてシワやシミ、白髪まで、タバコの害は全身に及びます。
中国から風に乗ってPM2.5がやって来ると聞いて大騒ぎする人が、有害な微粒子が含まれるタバコを吸っているのは、不思議なことです。
「タバコは身体に悪いから、軽いのを吸っている」は副流煙の害を大きくしていた
それに、タバコには副流煙による受動喫煙という問題もあります。お酒は、飲んで暴れたりしない限りは、本人だけの問題です。けれどもタバコは、吸う人本人よりもむしろ周囲への影響の方が大きいのです。
上記した病気はすべて、喫煙者本人だけでなく、その周囲の人たち、いっしょに暮らしている家族などの発症リスクも高めます。実際に、夫の副流煙でCOPDになった女性のケースは、しばしば報告されます。
タバコの煙煙に含まれる有害な微粒子は、髪の毛や衣類にくっついて、長時間周囲に放出されます。喫煙者の口からは、吸い終わってから3分以上は有害物質が放出されます。
「タバコは身体に悪いから、軽いのを吸っている」という人がいますが、これがさらに、副流煙の害を大きくしています。というのは、タバコのきつさはタバコの葉そのものの違いではなく、フィルターの問題でしかないからです。
つまり、吸う人にとって軽いタバコとは、外部に煙を多く出すフィルターがついているということで、その分だけ周囲にたくさん有害物質をまき散らすことになるのです。
大切な人への悪い影響で後悔しない為に、タバコはどんな理由があっても「ダメ」
私は薬にしろ食べ物にしろ、「これは飲んじゃダメ」とか「食べちゃダメ」と断定はしないようにしています。それを飲んだり食べたりするかどうかは、その人自身の選択だと思っているからです。
身体に悪いものでも、それを承知で利用するなら、それはその人の選択だからです。
ただし、タバコだけは、本人の選択ではないにもかかわらず、害を被る人がいます。
ご主人のタバコのせいで、自分は吸わないにもかかわらずCOPDになったり、がんになったりしたのでは、泣くに泣けません。ご主人にしても、自分のせいで奥さんががんになってしまったりしたら、悔やんでも悔やみきれないでしょう。
そのようなケースがあるからこそ、タバコはどんな理由があっても「ダメ」だと思うのです。
(宇多川久美子著書:『薬を使わない薬剤師の「やめる」健康法』より抜粋)
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