薬を使わない薬剤師の“健康自立ブログ”

レモン100個分のビタミンCが、果たして必要ですか?

レモン100個分のビタミンCが、果たして必要ですか?


健康のために、サプリメントを飲む人が増えています。「外食が多くて野菜不足だから、ビタミンを補給しよう」とか、「膝関節が痛いから、グルコサミンとコンドロイチンを飲もう」等々、理由はいろいろです。どんな理由であれ、身体の声に耳を傾けるのはいいことに違いありませんが、「ならば、サプリメントで」と思うのは、どうでしょうか。

サプリメント愛用者のなかには、「朝食がサプリメント」という人もいるようですが、それでは身体本来の機能が働きません。食事をするときには、目で見たり匂いを嗅いだりして、「おいしそうだな」「食べたいな」と感じることで、身体が準備をします。唾液や胃液が出て消化する態勢が整い、噛むことによって脳に刺激が伝わり、満足感や満腹感が得られるのです。

ところがサプリメントは、おいしそうに見えませんし、匂いもしませんから、身体が食べる態勢を整えることはありません。噛むこともないので脳への刺激もありません。したがって、食事と同じように吸収されることもないでしょう。

また、サプリメントには、特定の成分が凝縮されて大量に入っています。「レモン100個分のビタミンC」とか、「コンドロイチン400mg 配合」といった具合ですが、果たしてそれほどたくさんの成分を摂る必要があるのでしょうか? というよりも、通常の食事ではあり得ないほどの量を摂って、害はないのでしょうか? たとえば、抗酸化作用があるとされるBカロテンは、大量に摂ると肺がんや心臓病が増えるというデータがあります。

ほかの成分は、大丈夫なのでしょうか。

さらに、特定の成分だけを大量に摂っても、その成分が体内で通常の働きをするかどうかはわかりません。栄養素は、ほかのさまざまな成分や酵素と互いに作用し合って働くものだからです。試験管の中で想定通りの働きをしたとしても、試験管内よりもはるかに複雑な体内環境で、同様の働きをするとは限らないのです。

プラセボ効果で、肌の水分量も上がる


でも、世の中には「これを飲んだら関節の痛みが消えた」とか、「お肌の調子がよくなった」などと言う人たちが大勢います。それが気のせいかと言えば、そうではなく、本当に関節の痛みが消えたり肌の調子がよくなったりしたのだろうと、私は思います。

私が代表理事を務める「国際感食協会」の生徒さんで、こんな人がいました。

彼女は、お肌にいいというサプリメントのモニターをしたのだそうです。メーカーでサプリメントをもらって帰って、言われた通りに夜飲んで朝起きたら、なんと、一晩でもう効果が現れてお肌がプリプリ、ツヤツヤ。嬉しくなって、毎日楽しみにしながら飲み続け、モニター期間の2週間が終了。再びメーカーに出向き、肌の水分量とキメを測定したところ、明らかに水分量が増えていて、キメも整っているという結果でした。

「ああ、やっぱり!このサプリ、いつから発売ですか? すぐ買います」と言ったところ、担当者は喜ぶどころか、苦い顔。彼女の飲んだサプリメントはプラセボ、有効成分の入っていない偽薬だったのです。

要するに、信じて飲めばプラセボ効果が最大限に発揮されて、本当に体調がよくなることもある、ということです。ワクチンが効いたとか薬が効いたというのも、その大半はプラセボ効果で免疫力が上がったからだと私は思います。

サプリメントはさらに、長期間飲み続けることで効果が出るとされるものが多いため、その間に自分で何らかの努力をする、ということもあります。彼女も、一晩で肌の調子がよくなったと感じたために、無意識のうちに「もっとよくなりたい」という気持ちが働き、睡眠時間をたっぷりとったり、食事に気をつけたりしたのではないでしょうか。

おそらく、「効くかどうかわからないけれど、飲んでみて」と言われて飲んでも、効果は出ないと思います。だからこそサプリメントには、「これを飲んだら膝が楽になったのよ」とか、「肌がツヤツヤしてきたの」といったクチコミが大事なのです。

サプリメントでは補えないものがある


ただ、たとえプラセボ効果であっても、サプリメントを飲んで何らかの効果を感じると、それに依存してしまうことがあります。「これさえ飲んでいれば大丈夫」と思ってしまうのですが、サプリメントもその多くは薬と同様、化学合成された異物です。飲み続ければ、思わぬ副作用が出ることもないとは言えません。

そもそも、「これさえ飲めばいい」というものは、存在しません

思い出していただきたいのですが、ちょっと前までは、私たちの身体を作っているのは、たんぱく質と脂質と糖質の「三大栄養素」だと言われていました。それが、ビタミンとかミネラルも必要だとなって、「五大栄養素」と言われるようになり、さらに、昔は食物のカスだと思われていた食物繊維が、本当は大事だということがわかりました。そして今は、ブルーベリーのアントシアニンやトマトのリコピンなど、植物に含まれる栄養素、フィトケミカルも重要だと言われるようになりました。

科学が発達するにつれて、それまでは知られていなかったものや、働きがわからなかったものに大切な役割があるということがわかってきたのです。ということは、食物には、まだ発見されていない重要な栄養素が含まれている可能性が高いということ。サプリメントを何十種類も飲んだとしても、補えないものがあるのです。

サプリメントのなかには、天然由来のものも相当数ありますから、すべてが化学合成品というわけではありません。けれども、バランスよく食事をすることによってしか摂れない栄養素はたくさんあります。したがって、まずはバランスよい食事をすることがだいいちです。

どうしても栄養素が足りないときには、天然由来のサプリメントを一時的に活用するのもやむを得ないと思いますが、サプリメントはあくまでも、栄養補助食品、です。食事の代わりになるものではありませんから、できるだけ速やかに食生活を改善して、サプリメントはやめましょう。

(宇多川久美子著書:『薬を使わない薬剤師の「やめる」健康法』より抜粋)


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