薬は「身体の声」にフタをする
痛みなどの不快な症状を瞬時にやわらげてくれる薬は、苦しいときには救世主のように思えるでしょう。
しかしその薬が、何より大事な自分の身体の声にフタをし、やがては大きな健康障害を招きかねないとしたら、どうでしょうか。
私たちの身体は、実に正直にできています。けなげでもあります。体内で何か問題が生じたら、即座にアラームを発し、同時に免疫機能を発動させて宿主(あなた)に伝え、自ら治そうとします。
そのアラームが、痛みなどの不快な症状なのです。
「身体の声を聞く」とよく言いますが、不快な症状が出たときは、その症状に耳を、心を傾け、そこに何か問題が生じているのだとわかってあげましょう。
そして、治そうとしている身体を気遣い、休んであげてください。
すぐに薬を飲むなどして症状を封じ込め(アラームを無視して)たり、なかったことにしたりして、無理を重ねることは決してしないでください。
これでは身体が発している声にフタをすることになってしまいます。
何か問題があるから不快症状を通じて伝えようとしているのに、薬で抑え無視した挙句、無理を重ねられたら、身体だって怒ります。大反乱を起こしかねません。「これでもわからないのか!」と、俗に言えば「キレて」しまい、急に倒れたり、胃潰瘍や肝機能障害といった健康障害を引き起こしてしまったりすることだってあります。
先日、実際に起きたお話です。
頭が割れそうに痛くなり、救急車に運ばれた女性がいました。ところがその日は、土曜日。休日のため担当技師がおらず、CTを撮ることができません。
とりあえず「これを飲んで様子をみよう」とお医者さんから処方された薬を飲んでみると、うそみたいに痛みが消えたとのこと。そこで、彼女は「大丈夫そうです」と伝え、月曜日に詳しい検査をすることにして、帰宅しました。
そして月曜日。検査に出かけた彼女は、病院の待合室で倒れ、そのまま亡くなってしまったのです。
原因は「くも膜下出血」でした。
もし、土曜日に病院で薬を飲まなければ、頭痛が続き、ほかの病院に行ってでも緊急で検査を行ったでしょう。命を落とすことはなかったのかもしれません。
最後のアラームが鳴ったのに本人も病院側も気づけなかった。その結果、彼女は亡くなってしまいました。
本来は頼るべきでない薬と本当に頼るべき身体の声
もちろん、自分の都合ばかりではままならないのが社会人です。
大事な商談、冠婚葬祭など、不快な症状を無理やり抑えてもてでも、行かなくてはならない場合もあるでしょう。そんなときに薬に頼るのは、仕方がありません。
でも、たとえば気の置けない友人との飲み会でも、同じことをしていませんか?
行けなくてつまらない思いはするかもしれませんが、自分の身体は、それより何より大事なものです。この世でたった一つしかなく、決して替えがきかない大事な身体のために、「今日は調子が悪いから、やめておくね」と言えるようになってください。健康で長生きするということは、身体と共存するということでもあるのですから。
病気のなかには、もちろん薬を必要とするのもあります。先天的な病気、急性疾患など、生活習慣にかかわらずかかってしまう病気もあります。
しかし、それ以外の病気は、身体に耳を傾けることで予防できます。実は、自分で予防できる病気のほうが、はるかに多いのです。
にもかかわらず病気にかかってしまうのは、本来は頼るべきでない薬によって、本当に頼るべき身体の声にフタをしつづけた結果です。
厳しいようですが、生活習慣によって生じる病気は、本人の自業自得と言っても過言ではありません。
目や耳、心をそらしつづけてるアラームはありませんか?
(宇多川久美子著書:『薬が病気をつくる』より抜粋)
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