1900年頃初頭、アメリカの都市部に住む人たちの食事は肉、卵、バター、穀物と季節の野菜やフルーツなどで、一日当たり平均で2900kcal程度を摂取していたと言います。相当な量です。それでも太りすぎる人は案外少なくて、当時のアメリカの三大死因は肺炎、結核、下痢・腸炎でした。現在のメタボ大国アメリカとはずいぶん様相が違います。
それから100年余りの間に、アメリカでは何が起こったのか? 何が原因で、現在のようにメタボが増加してしまったのか?その理由の一つに「バターからマーガリンへ」という運動があったように思います。
1900年代半ばになって、アメリカでは心筋梗塞や狭心症による死亡が増えていきました。そのような状況の中、米国心臓協会は1956年に食事内容に関して次のような啓蒙を始めます。
「「バター、ラード、卵、ビーフ」を「マーガリン、コーン油、チキン、冷たいシリアル」に置き換えましょう」
米国心臓協会が「賢明な食事」としてこのような推奨を始めたこともあって、「コレステロールの高い食品は身体に悪い」というイメージが多くの人々の意識に定着していくこととなりました。コレステロールが心筋梗塞など重大な疾病の原因となるという印象を強く与えたのです。
この運動は日本にも飛び火してきました。当時、私たち日本人もマーガリンは身体にすごくいいものだと信じ込みました。バターに比べてコレステロールが低く、太りにくい。バターからマーガリンへの置き換えがどんどん進んでいくことになったのです。
そしてその結果はどうだったでしょう? 心筋梗塞などの発症数は減っていったのでしょうか? いいえ、減るどころか心筋梗塞も狭心症も、増加する一方でした。
その後、1980年には今度はアメリカ大豆協会がマスコミを使ってこんなキャンペーンを始めました。「植物油は健康によい。肉やバター、ココナッツオイルなどに含まれる飽和脂肪は身体に悪い影響を与えますよ」と、大々的にアピールをした
のです。
それを受けてファストフードを始め冷凍食品や加工食品を製造する業者たちはこぞって「植物油(トランス脂肪酸)」を使うようになりました。また同じ頃に「脂質を降下させる」効果のある薬が大々的に売りに出されました。
1994年に、アメリカ糖尿病学会は国民に対して驚くような勧告を出しました。脂を摂るとコレステロールが増えて動脈硬化を起こしてしまうからという理由で「食事のカロリーの60~70%を炭水化物から摂取すべきだ」として、低脂肪の食事を勧めたのです。
アメリカにならってWHOも日本の糖尿病学会もこれを推奨するに至りました。その結果、なんと1994年を境に2型糖尿病患者数は3倍に増加したのです。
(宇多川久美子著書:『それでも「コレステロール薬」を飲みますか?』より抜粋)
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