薬を使わない薬剤師の“健康自立ブログ”

違いを知っておこう!熱中症予防に飲んで良いもの、悪いもの

高いから体にいいわけじゃない!熱中症予防に経口補水液を飲んではいけない理由

年々夏の暑さが厳しくなってきていますね。猛暑日を迎えている地域も少なくありません。
熱中症には十分注意し、水分を十分とりましょう!

今回は「経口補水液」についてお話しします。最近はテレビのCMでも見ますし、スーパーでも買えるようになってきました。ポカリやアクエリアスなどの、いわゆるスポーツドリンクよりもお値段高めですが、何が違うのかご存知ですか? 値段が高い=体にいいかも、と思い込んでしまうと、誤った飲み方をしてしまうことにもなりますので、違いをきちんと理解しておきましょう。

経口補水液ってどんな水?


経口補水液とは食塩とブドウ糖が入った水で、脱水症状を起こしている人に素早く水分補給させるために作られた飲料です。

薬局やドラッグストアでよく見かける某経口補水液の成分表には、100mlあたり「食塩相当量0.292g(ナトリウム115ng)」「ブドウ糖1.8g」と表示されています。他の製品も、ほぼ同じような分量が入っています。

熱中症の予防に飲むものでありません


食塩は化学名では塩化ナトリウムです。いわゆる電解質というもので、塩分も体液より濃い濃度なので、すみやかに体に吸収されます。

食塩とブドウ糖ですから決しておいしいものではありませんが、そもそも経口補水液は清涼飲料水ではなく、医療用に作られたものです。おいしさは追究していません。脱水症状を起こした場合、点滴で水分補給を受けるのが一般的ですが、そうした施設がなく、医療者もいないような途上国などで応急処置用に提供され、発達していった飲み物です。点滴するのが難しい乳幼児にもよく使われています。

このように、経口補水液は脱水症状を起こしている人が飲むものであって、熱中症の予防に飲むものでありません。熱中症予防には水で十分です。スポーツをする時もスポーツドリンクで十分です。

逆に、熱中症になってもいないのに経口補水液を飲むことはおすすめできません。というのは、経口補水液は塩分が高いからです。塩分約3%です。500mlのペットボトル1本で1.5gの塩分を摂取することになります。特に高血圧で塩分制限されている人にとっては注意しなければならないような分量です。

ここで注意していただきたいのは、スポーツ時に経口補水液を飲むな、と言っているのではないということです。たとえばジョギングしていて頭がフラフラする、めまいがするなど、脱水症状が疑われる場合、経口補水液は有効です。

繰り返しになりますが、あくまで経口補水液は脱水症状が出てから飲むものであり、予防で飲むものでないことを覚えておいてください。熱中症予防には水やスポーツドリンクで十分です。

ちなみに「水1リットルに食塩3g」を入れれば簡易経口補水液ができます。一度、飲んでみるとわかりますが、けっこうしょっぱいですよ。決してガブ飲みするものではないことがわかると思います。

脱水症状を起こして経口補水液が必要なときは、一口ずつ、ゆっくり飲みましょう。お子さんや高齢者に飲ませるときも覚えておいてくださいね。

 

(小学館働く堅実女子のお悩み解決サイトSuits-woman.jp より転載)


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