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トランス脂肪酸って何?どうなる日本の食生活?危険なトランス脂肪酸をどう考える?!

「トランス脂肪酸の3年以内の全廃を通達」
少し前にこんな報道が世間をザワつかせましたね。

アメリカ食品医薬品局(FDA)が今年6月、水素素添加してできたトランス脂肪酸を、GRAS(generally recognized as safe:一般的に安全な物質)としては認めないとする決定を公表したのです。
準備期間を経て3年後には、使用禁止となります。

そしていまだに、「日本では規制されていないけど大丈夫なの?」 というご意見をよく耳にします。
そもそも「トランス脂肪酸」って何なのかしっかりおさらいしてみましょう。
その上でトランス脂肪酸の弊害については考えていきましょう!

トランス脂肪酸とは何か?


脂肪酸は、油脂などの構成成分で炭素(C)、水素(H)、酸素(O)で構成されています。
脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類され、炭素と炭素が2つの手で結び付いた二重結合(不飽和)を一つ以上有するものが不飽和脂肪酸と呼ばれます。
不飽和脂肪酸は、二重結合の炭素に結び付く水素の向きでトランス型とシス型の2種類に分かれます。
水素の結び付き方が互い違いになっている方をトランス型同じ向きになっている方をシス型といいます。
天然ではほとんどの場合、不飽和脂肪酸はシス型で存在します。
トランス脂肪酸の生成については、次の4つの過程があることが示されています

【加工・調理段階で生成】
①植物油等の加工に際し、水素添加の過程で生成
②植物油等の精製に際し、脱臭の過程で生成
③油を高温で加熱する調理過程で生成

【天然に生成】
④自然界において、牛など(反すう動物)の反すう胃内でバクテリアの働きにより生成

私たちが「トランス脂肪酸」といっているのは①の水素添加されているもののことが多く、調理加工などの使用目的にあった物性(融点、酸化安定性など)を持つ食用油脂を製造するために行われています。
アメリカでの規制対象も①の水素添加によるトランス脂肪酸です。
トランス脂肪酸は、主に以下のような食品に利用されています。
マーガリン
・ショートニング
・コーヒーフレッシュ
・市販の菓子類(チョコレートスナック菓子)
・パン
・ケーキ
・カレールウ
・シチュールウ
・マヨネーズ
・ファーストフードなどで使われる油を含むもの(ポテト、チキンなど)
コロッケや惣菜などで何度も使用されている油。
「トランス脂肪酸とは何か?」についてはご理解いただけましたね^^

トランス脂肪酸の弊害


では「トランス脂肪酸の弊害について」考えてみましょう!
米国FDAは2018年6月から「トランス脂肪酸」の食品添加物の使用を全面的に禁止することを発表しました。
この報道を受けて日本国内でもたいへん関心が高まっていますね。
2004年、世界保健機構(WHO)の世界保健会議で、トランス脂肪酸は削減すべきという話し合いがなされ、2009年にはトランス脂肪酸の摂取量を「総摂取エネルギー量の1%未満」という目標を掲げました。
これを受けて、世界中がトランス脂肪酸の削減を目指してさまざまな努力を始めることとなりました。
2006年12月5日ニューヨーク市では市内全ての飲食店で、「トランス脂肪酸」使用を禁止することに決定しました。

日本人がどれくらいのトランス脂肪酸を摂っているかというと、1998年の古い統計では日本人のトランス脂肪酸の摂取量は1日あたり約1.4g、エネルギー摂取量の約0.7%でした。
この時点でもWHOの掲げる1%をかなり下回っています。
トランス脂肪酸が身体に悪いと問題視されるかなり前の数字ですから、さらにこれ以降、各社の企業努力によっても原材料中のトランス脂肪酸は減少しているはずです。
一般的な「日本人の食生活」を送っていれば、何も意識しなくてもほぼ問題は起こらないと考えていいと思います。
ただし、揚げ物をよく食べる、スナック菓子がやめられない。食事はいつもコンビニ弁当などの場合は、かなり摂取量も増えてしまっていると考えられます。

この「トランス脂肪酸の弊害」について考えてみましょう

心臓疾患のリスク


トランス脂肪酸を多くとりすぎると、悪玉コレステロールが増えて動脈硬化などのリスクが高くなると言われています。
また、肝臓に悪影響を及ぼしてコレステロール調節機能のバランスを崩し善玉コレステロールを減少させることを、米国医学学会(Institute of Medicine)が報告しています。
2倍のマイナス効果で動脈硬化を促進し、心臓疾患のリスクを非常に高めてしまうということですね。
また体内の酸化が進んで「ガンになる可能性が高くなる」とも言われています。
他にも認知機能が早く低下する「痴呆のリスク」糖尿病になるリスクも高まることも報告されています。
ドイツでは腸の慢性炎症疾患クローン病とマーガリンの摂取の因果関係が証明され、 マーガリンの使用が制限されています。

トランス型脂肪酸が健康に良くない理由


もうひとつの理由はアレルギーや免疫力の低下があげられます。
これは腸壁や皮膚の細胞膜にトランス型脂肪酸が取り込まれると、本来のシス型脂肪酸と立体構造が異なるため細胞膜の隙間ができ体に有害なものを取り込みやすくなり
アレルギーなどを引き起こすという考え方です。
脂肪酸は全ての細胞の細胞膜の原料として不可欠ですが、トランス型に変化することで体内で細胞膜が作られるときに弱く不安定な細胞膜となります。
そのため、ウイルスや細菌が進入しすくなって免疫機能を弱らせるようです。
アトピー性皮膚炎やアレルギーとの関連も指摘されています。

トランス型脂肪酸を体外に排泄しようとすると、多量のビタミン類やミネラルを消費することもわかっています。
トランス脂肪酸は一般的な「日本人の食生活」を送っていれば摂り過ぎることはないと考えられます。
だから無防備でよいということではありませんが、あまりに神経質になって必要な油脂まで抑えてしまいかえって免疫力のない身体にならないようにしましょう!
なんといっても「バランスのよい食事を心がけること」ですね!

ちなみに、トランス脂肪酸の含有率をBusinessJournalの佐々木奎一さんの記事から抜粋させていただきました。
お買い物の参考にしてみてはいかがでしょう?

【トランス脂肪酸含有量3.0%以上】

・マリンフード「メンドーテルポーション 6g」(4.0%)
・同「ガーリックマーガリン 80g」(3.2%)
・雪印「ネオソフト コクのあるバター風味280g」(3.0%)
・同「テイスティソフト バターの風味 濃厚300g」(3.0%)
・同「ネオソフト キャノーラハーフ160g」(3.0%)
・同「ネオソフト ハーフ」(3.0%)
・同「ネオソフト べに花」(3.0%)
・同「ヘルシーリセッタ ソフト」(3.0%)
・生協「ケーキ用マーガリン」(3.0%)

これらはパン5~7枚程度で基準値オーバーとなる。

【トランス脂肪酸含有量1.0%以上3%未満】

・ローソン「マーガリン ローソンセレクト」(1.9%)
・イオン「シュガートースト ソフトクリーム」(1.71%)
・雪印「まるでバターのような やわらかソフト(チューブタイプ)140g」(1.4%)
・ホテルオークラエンタープライズ「ホテルオークラ マーガリン180g」(1.0%)
・金谷ホテルベーカリー「金谷ホテルマーガリン」(1.0%)
・J-オイルミルズ「NEW! カルピスソフト」(1.0%)
・同「ラーマ バター好きのためのマーガリン」(1.0%)
・同「ラーマ バターの風味」(1.0%)
・同「ラーマ」(1.0%)
・同「ラーマソフト減塩」(1.0%)
・同「ラーマ プロ・アクティブ」(1.0%)
※J-オイルミルズは含有量をすべて「1%前後」と回答したので1.0%に統一した
これらは、基準値に達するにはパン10~20枚必要で、パンのみでオーバーすることはないだろう。ただし、他の食品とトータルでオーバーしないよう気をつけなければならない。そのためには、トランス脂肪酸の含有量の表示を義務づける必要がある。

【トランス脂肪酸含有量1.0%未満】

・丸和油脂「ホテルソフトファットスプレッド 380g」(0.9%)
・同「ホテルソフト(バター入り) 150g」(0.9%)
・マリンフード「ソフトマーガリン150g」(0.8%)
・雪印「ネオソフト」(0.8%)
・生協「バター入りマーガリン」(0.8%)
・同「コーンソフト バターの風味」(0.7%)
・イオン「トップバリュ テーブルソフト 320g」(0.7%)
・小岩井乳業「小岩井 マーガリン 醗酵バター入り 180g」(0.68%)
・リボン食品「低糖工房 有機のマーガリン160g」(0.6%)
・イオン「トップバリュ セレクト 発酵バター入りマーガリン160g」(0.6%)
・マリンフード「たらこスプレッド 150g」(0.6%)
・同「ガーリックマーガリン 160g」(0.6%)
・同「はちみつシュガーバターブレンド 160g」(0.6%)
・同「ホイップガーリックソフト120gシュリンクタイプ」(0.6%)
・同「ホイップガーリックソフト 120g カートンタイプ」(0.6%)
・同「私のフランス料理 150g」(0.6%)
・同「私の胡麻いっぱいスプレッド 160g」(0.6%)
・同「私のフレンチトースト 160g」(0.6%)
・同「キューブマーガリン 7g」(0.6%)
・雪印「まるでバターのようなマーガリン」(0.6%)
・同「ケーキ用マーガリン」(0.6%)
・創健社「べに花ハイプラス マーガリン180g」(0.5%)
・帝国ホテル「ホテルマーガリン」(0.5%)
・月島食品工業「パン屋さんのおいしいマーガリン」(0.5%)
・同「プラスマーガリン」(0.5%)
・マリンフード「ツキマルシルバー 8g」(0.5%)
・同「フレッシュマリンマーガリン 8g」(0.5%)
・同「フレッシュマリン植物性マーガリン 8g(小袋)」(0.5%)
・同「フレッシュマリンマーガリン 8g(小袋)」(0.5%)
・生協「コーンマーガリン(コーン油<遺伝子組換え原料不使>70%使用」(0.5%)
・キユーピー「いちご&マーガリン 約11g」(0.4%)
・同「はちみつ&マーガリン 約11g」(0.4%)
・同「ブルーベリー&マーガリン約11g」(0.4%)
・イオン「トップバリュ キャノーラソフト バター風味ソフト160g」(0.4%)
・創健社「発酵豆乳入りマーガリン160g」(0.4%)
・生協「コーンマーガリン」(0.4%)
・同「NEWソフト」(0.4%)
・同「コーンソフト バター入り」(0.4%)
・小岩井乳業「小岩井 マーガリン ヘルシータイプ180g」(0.34%)
・マリンフード「ツキマルシルバーホイップマーガリン 5g」(0.3%)
・イオン「トップバリュ キャノーラソフト カロリー1/2 180g」(0.23%)

http://biz-journal.jp/2015/07/post_10696.html
(BusinessJournal佐々木奎一さんの記事から抜粋)

(文=宇多川久美子)


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