不眠についての厚生労働省の指針
私は、講演時などに、不眠についての質問を受けると、次のようにアドバイスするようにしています。
・眠れなかったら、無理に寝なくてもいいのではないですか。
・目が覚めてしまったら、そこから好きなことをしましょう。
・昼に寝てもかまわない状況なら、夜にこだわらずに昼に寝てください。
こうしたアドバイスは、往々にしてまじめな方のご機嫌を損ねてしまいますが、厚生労働省の指針でも同じようなことをいっていますから安心してください。
病気はつくられるもの
覚えておいていただきたいのは、「病気はつくられるもの」ということです。
不眠の悩みを抱えて病院に相談に行って、誰にでも該当しそうな不眠症の診断テストを受けて、その結果で病名をつけられたら、その時点から「不眠症」になっていきます。
私は、薬剤師として薬局勤務をしていた時に、睡眠薬で活気を失くしていく方をたくさん見てきました。
最初は、「ちょっと眠れないんだよ」と目を見て話してくれていた方が、薬を常用するほどに、だんだん目の焦点が合わなくなっていったり、伏し目がちになって質問をしても答えてくれなくなったり。
睡眠薬のせいばかりではないかもしれませんが、その様子には底知れない怖さを感じずにはいられませんでした。
睡眠薬による眠りは、麻酔薬と同じ
睡眠薬による眠りは、眠れないと訴える方たちが望むようなものでは、決してありません。熟睡感とはほど遠く、それは突然に意識を失うような眠りです。
断薬を中心とした積極的な活動を続ける内科医の内海聡先生は、睡眠薬による眠りについて、「全身麻酔で意識を落としたような」あるいは「誰かに突然殴られて気を失ったような」、ノックアウト型の眠りであると表現しています。
自然な睡眠とは、一晩のうちに眠りが深くなったり、浅くなったりを波のように繰り返しています。
一方睡眠薬による眠りは、パソコンを強制終了するようなもの。
そこには自然な眠りの波はなく、薬が効くと一気に意識が遠のき、薬が分解されるにつれて、徐々に覚醒していくような人工的な眠りです。
深酒をして酩酊し、意識をなくしたような状態を想像してもらうとわかりやすいかもしれません。体からお酒が抜けて目が覚めると、本人はまったく覚えていないのに、冷蔵庫の食品を食べ散らかした痕跡があったり、友人に電話をかけた履歴が残っていたり。
それと同じようなことが、睡眠薬の眠りにおいても起こります。
中には、「睡眠薬を飲むと、ぐっすり眠れてすっきり目覚める」という方もいますが、このぐっすり感、すっきり感もまた、薬を手放せない一因となってしまうこともあります。
睡眠薬による眠りの欠点として、呼吸が浅くなることもあげられます。睡眠薬も麻薬と同様に呼吸が抑制されてしまうために、十分な酸素を体に取り込むことができなくなります。すると、血液中は低酸素の状態になり、これが続くと脈拍や血圧が上昇して、不整脈のような重大な病気につながる危険もあるのです。特に、肺の機能が衰えている高齢者は、注意が必要でしょう。
(宇多川久美子著書:『睡眠薬その1錠が病気をつくる』より抜粋)
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