骨折するのは、骨密度が低いから?
あなたが40歳以上の女性なら、骨密度検査を受けたことがあるかもしれませんね。
骨密度検査には、20~44歳の平均骨密度を正常値(100)として、自分の骨密度が正常値の70~80%の場合は骨減少の要注意値、70%未満は骨粗しょう症と診断されます。
また、25歳の時の自分の身長と比較して4センチ以上低くなっていると、骨折の危険性が倍以上になるとされています。
患者の多くは高齢の女性で、60代女性の3人に1人が、70代女性の2人に1人が該当し、その数は年々増えていると言われています。
けれども、本当にそうでしょうか?
骨粗しょう症は、骨密度計の普及とともに1990年代に突然登場した、新しい病気なのです。
そもそも、年を取るにつれて骨密度が下がり、身長が縮むのはごく当たり前の現象です。
骨粗しょう症が登場した90年代に、突然骨密度の低い人が激増した、というわけではありません。年々患者が増えているのは、長寿になって、高齢の人が増えたことと、検査を受ける人が増えたことによるのではないでしょうか。
要するに、自然な老化現象が、基準値が設けられたことで”骨粗しょう症という病気 ”になってしまったのです。
検査を行う理由は、「骨密度が低いと骨折しやすく、高齢者が骨折すれば寝たきりになることが多いため、それを防がなければいけないから」とされています。
けれども、高齢者が骨折するのは、骨密度が低いからではないでしょう。
転ぶからです。
転んだときに、骨密度の高い人と低い人を比べれば、低い人のほうが骨折しやすいのは確かです。でも、骨折を防ぎたいなら、骨密度を上げるより先にやることがあります。
転ばないように、筋力をつけることです。
高齢になると筋肉が衰え、関節が硬くなり、足が上がらなくなって、ほんのちょっとした段差につまずくなどして、転倒するのです。骨密度を上げても、それを防ぐことはできません。
転倒を防ぐには、歩いたり軽い筋トレをしたりして、まずは筋力をつけることが大事です。
骨粗しょう症の薬を飲んでも骨密度は上がらない
骨密度が下がったことで、関節がきしんで痛いといった症状があるとしたら、それは問題です。
ところが、骨粗しょう症と言われて薬を飲んでいる人の大部分は、何の症状もないのに、病院に行って測ったら骨密度が低かったという人たちです。
そもそも、70代、80代の人に、20代、30代の人と同じ骨密度が必要だという根拠がよくわかりません。
若い頃なら、会社に遅れそうになって駅までダッシュすることもあるでしょう。それには骨密度の高い骨が必要です。しかし、70代、80代でそんなことをする人はいないでしょう。
しかも、何の不具合も感じていないのに、数値が低いというただそれだけで、薬を処方されてしまいます。そして、骨粗しょう症の薬には、非常に副作用の強いものが多いのです。
たとえば、ピスフォスフォネート製剤と呼ばれる薬は、服用後30分間は横になってはいけないとされています。
なぜかというと、薬の成分の刺激がとても強いため、すぐ横になると飲んで薬が胃から食道に逆流し、逆流性食道炎を引き起こす可能性があるのです。
そのため、服用は必ず起床直後、食道に残さず一気に飲み込めるように、たっぷりの水で飲むように指示されます。ところがその一方では、空腹時に飲まないと効果がないとされています。
つまり、食道に潰傷を起こすほど刺激が強い薬を、空腹時に飲まなければならないわけで、胃潰傷や十二指腸潰傷を引き起こす危険性があるのは否めません。
副作用として挙げられている症状も、胃潰傷や十二指腸潰傷をはじめ、便秘、腹痛、吐き気、膨満感、頭痛・関節痛・筋肉痛などの痛み、顎骨骨隨炎、顎骨壊死など、多岐にわたっています。
骨粗しょう症の薬も、骨粗しょう症そのものを治すわけではありませんから、飲み出したら一生飲み続ければなりません。
その上、骨粗しょう症の薬を飲んで骨密度が上がったという人を、私はほとんど知りません。
まだ白衣を着ていた頃、窓口に来た骨粗しょう症の薬を処方されている患者さんとの会話です。
【骨粗しょう症の薬を半年飲んでいるAさん】
【骨粗しょう症の薬を2年飲んでいるBさん】
薬を飲んでいる自分と飲んでいない自分とを、同時には体験できませんから、医師にそう言われれば信じるしかありません。
骨密度が低い人は、動くと危ない?
それでもたまには、「骨密度が上がった」という人がいましたが、そのような人はたいてい「先生に言われて、歩くようになった」と言っていました。
医師の中にも、「歩くことが大事」とちゃんと言ってくれる人がいて、その場合は骨密度が上がるのです。
薬を飲んだからというよりは、運動したから骨密度が上がったわけで、運動すれば筋力もつきますから、転ぶ危険性も減ります。
ところが一般的には、骨粗しょう症だと診断されると、家族に「骨折したら危ないから、外に出ない方がいい」などと言われてしまいます。
よくできたお嫁さんがいたりすると、「転ぶと大変ですから、お母さんは家にいてください。買物なら私が行きますから」ということになり、ますます動かなくなって、骨密度も上がらず、筋力も衰えて転びやすくなるという悪循環です。
「だけど、薬として厚労省に認可されている以上、まったく効果がないということはないのでは?」と、思う人もいるでしょう。そこには、数学のマジックがあります。
薬の臨床試験では、その薬を飲む群と飲まない群にわけて効果を見ます。
たとえば、100人ずつ2つのグループに分けて、薬を飲まなかったグループでは2人骨折し、それに対して薬を飲んだグループでは1人骨折しました、というとき。
100人のうち1人と2人といわれれば、「大した違いはない」と思いますよね。
ところがデータ上は、「50%の効果がありました」とか「リスクを50%回避できました」と言ってもいいのです。
薬の効果もあやふやで、重大な副作用の危険性がある。
だいいち、転ばないことと骨密度を上げることに、直接の関係はない。
それなのに、骨密度を測ることに意味があるのでしょうか。
骨密度を測るのをやめて、バランスよく栄養を摂り、少しずつでも毎日歩いた方が、転んで寝たきりになる可能性は低くなると思います。
(宇多川久美子著書:『薬を使わない薬剤師の「やめる」健康法』より抜粋)
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