私は、鼻を“高性能加湿機能付き空気清浄機”と呼んでいます。
鼻は、吸った空気を温め、湿り気を与えて、外気が凍り付くような寒さでも、肺がダメージを受けないようにしてくれます。さらに、空気中のホコリや細菌などを鼻毛で絡めとり、鼻水や咳、痰などとともに排出して、有害物質が体内に侵入しないようにしてくれます。
鼻は本当によくできた呼吸器ですが、実は、日本人の約半数は口呼吸をしていると言われていますし、子どもでは8割が口呼吸をしているという指摘もあります。本来、口は呼吸器ではありませんが、人はほかの動物と違って言葉を話すため、それに伴って口で呼吸することを覚えたようなのです。
酸素を取り込むだけならば、口でもかまわないのですが、残念ながら口には加湿機能も空気清浄機もついていません。そのため、乾いた冷たい空気も、ホコリや細菌も、そのまま体内に取り込んでしまいます。
すると、口が渇いて唾液が不足し、虫歯や歯周病になりやすいですし、カゼやインフルエンザにもかかりやすくなります。さらに口の粘膜が炎症を起こし、それが免疫細胞に異常をもたらして、アレルギーなどの原因になるとも言われています。
口呼吸をやめて鼻呼吸を身につけるだけで、免疫力がぐんと上がる。
呼吸を鼻でするのと口でするのとでは、大違いなのです。したがって、「そう言えば、口呼吸しているなぁ」と思い当たる人は、口呼吸をやめて鼻呼吸を身につけるだけで、免疫力がぐんと上がります。
鼻呼吸のポイントは、口を閉じた時の舌の位置です。舌先が、下の内側についている人は口呼吸をしている可能性が高く、上の歯の内側についている人は、鼻呼吸はできている可能性が高いのです。もしも舌先が下の歯の内側や上下の歯の間についていたら、意識して上の歯の内側につくようにしてみてください。そのポジションに下を維持できるようになると、鼻呼吸ができて、寝るときも口を閉じていたれるようになります。
ところで気をつけたいのがマスクをかけたときです。普段は鼻呼吸をしているのに、マスクをかけたために油断して、あるいは息苦しさを感じて、口呼吸をしてしまう人がけっこういます。それではマスクの意味はありませんから、マスクをかけたときも、意識して鼻呼吸をするようにしましょう。
深呼吸は息をゆっくり吐いてから吸う
呼吸でもう一つ大事なのは、深呼吸です。深呼吸を上手に生活に取り入れることで、心と身体を簡単にリフレッシュできるようになります。
腹式呼吸と胸式呼吸は、どちらでもかまいません。ただ、深呼吸するときは「息を吐いてから吸う」ようにしましょう。
日本人は、ラジオ体操や学校の体育で「吸ってから吐く」ように指導されるため、深呼吸というと、まず息を吸う人がほとんどです。けれども、お風呂だって、古い水を抜いてから新しい水を入れなければ、きれいにはなりません。肺も同じです。そもそも吸ってから吐くなら「呼吸」ではなく「吸呼」ですよね。
人の呼吸では、吐く息は副交感神経を、吸う息は交感神経を優位にすると言われています。たとえば、私たちが緊張したあとで「フー」と息を長く吐くのは、無意識のうちに副交感神経を優位にして、心身をリラックスさせようとしているためです。反対に、ボクサーが試合の前にスッスッスッと短く息を吸い込むのは、交感神経を優位にして緊張を高め、戦闘モードに入るためなのです。
日常生活における深呼吸は、まず初めにゆっくり時間をかけて息を吐きます。そして肺を空にしてから、新鮮な空気を吸い込みます。吐くときは、吸うときの倍ぐらいの時間をかけるとよいでしょう。長く息を吐くことで緊張が和らぎ、新しい空気を取り込むことで心身が活性化します。
このような深呼吸を、
・朝起きたとき
・寝る前
・緊張が高まったとき
・疲れたとき
に3回ほど繰り返すと、簡単に身心をリフレッシュすることができ、同時に免疫力も上がっていきます。
これを読み終えたら「ゆっくり吐いて吸う」深呼吸を試しにやってみてください。
宇多川久美子著書:薬を使わない薬剤師の「やめる」健康法より抜粋
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