高血圧、高コレステロール、メタボ……曖昧な基準値
残念なことに、多くの方が健康診断によって病気にさせられています。健康診断を契機に服薬を始めているのです。
例えばコレステロール値。これは高くても低くても自覚症状はありません。ところが、健康診断で、「コレステロール値が高いから、薬を飲みましょう」と判定されると、血管が詰まっては大変だと、疑うことなく服薬を始めてしまいます。
健康診断には、血圧、コレステロール、空腹時血糖など、項目ごとに「基準値」があります。この基準値に収まれば「適正」、少しでもはみ出していると「要注意」に、さらに外れていれば「要治療」と判定されます。「要治療」となれば、投薬スタートです。
でも、この基準値、ちょっと見ただけでも「?」と思う部分があります。
例えばメタボリックシンドロームを判定する「腹囲」。「男性85㎝ 以上、女性90㎝ 以上」の基準でばっさり切られてしまいます。
男性なら20歳であれ60歳であれ同じ基準。
身長が160㎝ でも、180㎝ でも同じ基準なのです。
女性なら産前も産後も同じ基準……。この数値を決めている人は、産後にお腹を戻すのがどれだけ大変なのかご存じないのかもしれません。
基準値論争が起きている
一事が万事疑問の多い基準値。それぞれの学会が独自の基準値を出し、自分と違う基準値を出している学会を攻撃しています。
マスコミにも取り上げられたのは「コレステロール論争」。
2010年9月、「日本脂質栄養学会」が「コレステロール値は高いほど長生き」と、現在主流の「日本動脈硬化学会」が決めた基準値に真っ向から反対したことで話題となりました。
そして2014年には、血圧の基準値が大きな注目を集めました。「日本高血圧学会」の130 mmHgという基準値に対して、「日本人間ドック学会」が147 mmHgという数字を出したからです。
このように決まってもいない基準値。それに応じて薬を飲むなんて、なんだかばかばかしいと思いませんか?
高血圧の薬はやめられる
高血圧の薬(降圧剤、血圧降下剤)は、多くの人がやめられます。そもそも飲み始めたきっかけはなんでしょうか?
やはり健康診断ですか。血圧をどのくらいまで下げるかという目標の数値を「降圧目標」といいますが、厚生労働省の基準では、「収縮期血圧(最高血圧)/拡張期血圧(最低血圧)」がそれぞれ、
若者・中年者 130/85 mmHg未満
高齢者 140/90 mmHg未満 となっています。
心臓がぎゅっと縮まり血液が押し出されるときの最も高い血圧が「収縮期血圧(最高血圧)」、心臓が拡張したときの最も低い血圧が「拡張期血圧(最低血圧)」です。
そもそも、長い間、高血圧の基準値は、年齢+ 90 mmHg でした。
ですから
60歳であれば、150 mmHg、80歳であれば170 mmHgで問題なかったわけです。
また、1987年の高血圧の基準は180 mmHg。現在よりも 50 mmHgも高かったのです。
健康な高齢者が降圧剤で不健康に 現在の130 mmHg〜140 mmHg未満という基準値は、昔の「年齢+ 90 mmHg」で考えれば40〜50歳。
ですから、元気な高齢者は、中年者の基準に合わせるべく、降圧剤を飲まされることになります。
血管はわかりやすくいうと、ゴムチューブのようなものです。若い頃はそれ自体に弾力性があるので、血圧が低くても血液は全身を巡ります。
しかし、長いこと使用するとゴムチューブ自体の弾力性が落ちてしまうので、身体は「圧力をかけて」血液を全身に巡らせようとします。
血圧という圧力が年齢とともに高くなっていくのはそのためです。
ですから、降圧剤を飲むことで、大勢の高齢者は血の巡りが悪くなります。薬を飲み始めたために「明らかに調子が悪い」「朝起きられない」「だるくなった」などの症状が出ていたら、降圧剤が自分に必要ないという身体のサインかもしれません。
「年齢+90mmHg」に戻そう そう考えると、私は「年齢+ 90 mmHg」という基準は正しかったと思います。
それに 130 mmHgにしたために、脳出血、心筋梗塞や狭心症の患者数が大幅に低下したということはありません。
基準値を下げて救急車の出動が減ったわけではないのです高血圧の治療で認知症の恐怖 降圧剤を長期に服用すると認知症のリスクが高まるらしい、ということがわかってきました。
10年、20年と飲み続けている降圧剤の副作用を、他の薬や生活習慣といった条件を除いて証明することはできないものの、認知症と診断された方々の中には、降圧剤を飲んでいる人が多いのです。
キリンの血圧は高い
血圧の話をするときに、私はいつもキリンを思い出します。首の長いキリンの血圧は、
上が平均260 mmHg、下が160 mmHg。頭の上まで血液を巡らせるためには、それだけの血圧が必要だということです。
これは人間でも同じ。例えば156㎝ の私と、190㎝の人では、必要な血圧も違うのに、2人とも基準は130 mmHg未満です。
背の高い人は、身体に血を巡らせるために高い血圧が必要なはず。降圧剤で130〜140 mmHgレベルとしていると、頭まで血液が到達しなくなることも考えられます。
慢性的に酸素と栄養が脳に十分届かない状態となれば、認知症の危険も増してしまいます。
血圧にも個性がある
血圧を本当に下げる必要があるのでしょうか。性別、年齢、身長、そして血管年齢。
それらすべてが反映されて血圧は決まります。つまり「血圧にも個性がある」のです。
健康に過ごせているのであれば高くたってかまわない。130 mmHg未満、140mmHg未満という基準に合わせる必要などありません。
このような「基準値」がつくられるのは、ここに産業が生まれるから。声の高さや身長は薬で変えられないので、どうこう言われることはありません。
しかし、薬で血管を緩め、血圧を下げることはできます。
ですからそのための薬がつくられ、それに合わせた基準値がつくられるわけです。そもそも、10年20年かかって上がった血圧を、一気に引き下げる方が恐ろしいとは思いませんか?
血管年齢が若返れば、高血圧は怖くない
年齢は残念ながら変えることはできませんが、血管年齢なら変えられます。
歳をとると、肌だけでなく血管のハリも失われ、血管という「ゴムチューブ」の弾力性も低下してしまいます。
よく、「降圧剤は一生のおつきあい」と言われますが、そうではない、というのは実感としてあります。血管というのは、3層の膜でできています。真ん中は平滑筋といわれる筋肉で、血管の伸縮性を保っています。
加齢、ストレス、暴飲暴食などによって血管は劣化していきますが、平滑筋は筋肉ですから何歳になっても鍛えることができるのです。
では、どうしたら鍛えることができるのでしょうか。すごいテクニックはいりません。
食事と運動に気を配る。それだけです。私自身、40歳の頃の血管年齢は恥ずかしながら59歳でした。
それが55歳で血管年齢26歳にまで変化したのです。
食事と運動で血管は若返る
59歳の血管を持った私と、26歳の血管を持つ私で何が違うのか。
主に3つあります。
・立ち方、姿勢、歩き方を変える
・玄米、味噌汁、漬け物を毎日食べる
・薬を飲まない
運動をすると血管の筋肉まで鍛えることができます。筋肉があれば、基礎代謝が高くなり、熱を生み出してくれます。
代謝がいいということは、身体のターンオーバー(細胞や組織が新しく再生すること)もよくなるということ。
例えば肌のターンオーバーは28 日といわれていますが、肌だけでなく血管も骨も筋肉も、常に新しい細胞に入れ替えられ、再生しているのです。
内臓も同じです。例えば心臓が動くのは筋肉のおかげですから、ターンオーバーの大切さがわかります。この再生能力は体温が高い方がよいのです。ですから運動は欠かせません。
お米は、稲作と共に歩んできた私たち日本人の体質に合った主食。しかも玄米は、認知症予防効果も期待されるGABAやビタミンB群、鉄分、食物繊維など精米過程で失われてしまう栄養素が豊富です。
わが家では玄米を水に漬け、さらに発芽玄米にしてからいただきます。発芽するということは、その玄米が生きている証拠です。
さらにたまに精米したときに出た米ぬかを再利用して、自家製のぬか漬けをつくっています。玄米とぬか漬けはよく噛むことにもつながります。
大豆タンパクがとれる、日本伝統の発酵食品である味噌汁も欠かせません。
日本の気候風土に合ったものを、なるべく自然な状態で感謝しながらいただくこと。これが私の食事の基本です。
そして薬をやめたこと。
それまで常に服用していた頭痛薬をやめたことで、血の巡りは格段によくなりました。
これらを通じて生活の質が変わったために、私の血管もそれに応じて若返ってくれたのだと思います。
(文=宇多川久美子「断薬セラピー」より抜粋)
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