ここ最近増えている子どもたちの心の病
注意欠陥・多動性障害(以下、ADHD)という病名は、ニュース等でよく取り上げられているため、ご存じの方も多いでしょう。
ただ、あまりにも取り上げられすぎたせいか、何かあるとすぐADHDではないかと疑い、受診させる教師や親御さんが増えているようです。
実際、「あなたのお子さんはクラスに迷惑をかけるので、ADHDを認めるか、それとも学校を移るか、どちらか選んでください」と学校から言われ、あわてて病院に行ったというお話も何度か耳にしています。
さらに、少しでも兆候が見られるとADHDであると診断し、向精神薬を子どもに処方するお医者さんも増えています。
向精神薬は、脳の中枢に直接働きかける、とても強い薬です。
その代表的存在であるリタリンは、1970年代、ヘロイン(麻薬)並みの高依存性をもつことが指摘されました(スウェーデンではそれに先んじて1968年に発売が禁止されている)。
ところが米国では、このリタリンをADHDの特効薬として使いつづけました。
1995年には、国連機関国際麻薬統制委員会(INCB)が、米国の6歳から14歳の児童のうち3~5パーセント(男児にいたっては10~12パーセント)がADHDであると診断を受け、メチルフェニデート(リタリンの主成分)を処方されていると報告しています。
また、リタリンを服用すると活動的になり(興奮しているだけなのですが)仕事がはかどるなどといった評判が立ち、処方された少年たちだけでなく、大人たちの間でも本来の使用法とはかけ離れた形で爆発的に広まりました。
1990年から1999年の10年間で、全世界でのリタリン生産量は700パーセント増。
その90パーセントが米国で消費されたという結果が出ています。
そんな状況下、米国では学校内での銃乱射事件が多発。犯人の少年たちを調べたところ、その多くが何らかの学習機能上の障害をもつと診断され、リタリンを含む向精神薬の投薬を受けていたことがわかりました。
これを受けてコロラド州は、1990年、正確かつ厳密な検査を伴わずして診断されたADHD児へのリタリン投与を禁止。
安易なADHDのレッテル貼り、そしてリタリン投与が、子どもたちにとって、そして社会にとっても大いに危険であると診断したのです。
リタリンをうつ病の治療薬として使用した結果
一方日本では、リタリンをうつ病の治療薬として使用していました。
他国の動きがあっても使用をつづけ、2007年、ずさんな診療の結果、リタリンの依存症となってしまった人が自殺したことから、ようやくうつ病が適応症から外されました(翌2008年から専門医登録制に)。
また日本では、小児期のADHDには、メチルフェニデートの徐放剤(コンサータ錠。ヤンセンファーマ社)が処方されています。
2007年12月に承認されたのですが、覚醒剤と似た性質をもっているため、承認にあたり厳格な規制が定められました。
「コンサータ錠適正流通管理委員会」(事務局は製造販売元のヤンセンファーマ社)を設け、処方できるお医者さんを限定し、調剤できる薬局とともに、登録制にしたのです。登録されていないお医者さんから処方箋が来た場合、薬剤師は調剤を拒否することとし、定期的に流通状態、処方状態の管理を行っています。
厳格な規制が必要な危険な薬剤を子どもに与える弊害
言い換えると、これほど厳格な規制が必要な危険な薬剤を、子どものときから与えつづけているということです。
思い返してみてください。
以前は、ADHDという病気はありませんでした。元気であることは「個性」とみなされていました。
みなさんの周りにいた落ち着きがない子どもも、大人になるにつれ、それなりに落ち着いて行動できるようになっていったはずです。
しかし、現在は「病気」と認定され、「薬」を与えられる。
不思議に思いませんか。
薬を飲んだからといってADHDと名づけられた症状が治るわけではありません。
こんなにも強い薬を子どもに与えつづける、つまり薬漬けにすることによって起こりうる弊害のほうが怖いと感じます。
少年たちの事件とリタリン服用、そしてADHD児との関係は決して簡単に解ける問題ではないでしょう。
しかし、子どもに処方される薬がいったいどういうものなのか、親ごさんも教師もしっかり認識してください。
子どもを守るのは大人であるみなさんなのですから・・・・・・。
(宇多川久美子著書:『薬が病気をつくる』より抜粋)
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