農耕民族である日本人に一番合っている食べものは、やはり日本の伝統食である「お米」ではないでしょうか。
日本人のなかには、牛乳を飲むとおなかを壊す人がいます。
これは乳糖を消化する酵素が少ないか、その働きが弱いためです。
あらかじめ乳糖を分解してある牛乳も販売されていますが、それもナンセンスな話です。
牛乳を飲んでおなかがゴロゴロするのは、「飲まないでほしい」という身体からのサインです。
寒い国の人で、牛乳を飲んでおなかを壊す人はまずいません。
寒い所で暮らす人々は肉からたんぱく質を得ますが、肉にはカルシウムが少ないため、生活の知恵として牛乳を大量に摂るようになったのです。
同じように、欧米人は海苔を消化する酵素を持っていません。海苔を消化する酵素を持っているのは、世界中で日本人だけというという研究も報告されています。
お寿司の巻物を食べておなかを壊してしまう欧米人もいるといいます。
日本の食生活が欧米化したといっても、せいぜいここ50~60年のこと。やはり、先祖代々日本人が食べてきたものが身体に合うようになっているのです。
民族によって、身体に合う・合わない食事があるのは当然ですが、もっといえば個人単位でも合う・合わないはあります。栄養学的に見て「栄養がある」ことと、「自分に合う」かどうかは必ずしも一致しないのです。
日本人であってもお米が苦手だったり、お米を食べると胃がもたれるという人もいるのは事実です。
人それぞれ体質に合わないものがあるのは仕方のないことですが、それでも生まれ育った土地のものを食べるのが基本でしょう。
その中から、自分に合ったものを探していくべきだと思います。
見直したい日本の食文化
繰り返しになりますが、人が自分の住む環境になじむためには、その土地柄に合った食べものを摂ることが大切で、日本人にとっての理想の食事は、当然のことながら和食です。
日本人が先祖代々食べてきたものは、私たちの身体の中で消化・吸収しやすいようにできています。これはいくら食生活が欧米化しようとも、変わらない事実です。
食の欧米化に伴い、大腸がんや乳がん、メタボリックシンドロームになる人が増えています。
それは、農耕民族である日本人の体質に合っていないからだと考えられています。
欧米人が海苔を消化する酵素を持っていないように、日本人には肉や乳製品を消化する酵素の量が少ないこともわかっています。
日本で自給できている食料はわずかですが、お米なら100%国産で賄えます。鎖国されていた江戸時代の食料自給率は100%でした。お米中心の食事で、国産ですべて賄えていたのです。
時代が流れ、主食としてパンが入ってきたことで、肉や乳製品を食べる文化が定着してきました。輸入したもの同士のほうが相性は良いので、今のような食生活の欧米化が進んだのです。
もちろん、それがすべて悪いとは言いませんが、もっと主食であるお米を中心に考えていけば、日本の食文化は揺るがないのではないでしょうか。
ご飯・みそ汁・ぬか漬け
日本の伝統食といえば、「お米・みそ汁・ぬか漬け」です。
みそ汁は日本が世界に誇れる発酵食品です。
なぜなら、味噌は大豆と米と麦と食塩などからつくられた発酵食品で、ここに根菜類を入れ、さらにわかめや昆布といった海藻類も入れれば食事として完璧なものになるのです。
今、「酵素ダイエット」などによって酵素や発酵食品が見直されていますが、何も目新しいものではありません。ぬか漬けや納豆など、昔から日本には発酵食品がたくさんあったのです。
ちなみに、私の食生活で外さない3点セットは「お米・みそ汁・ぬか漬け」です。お米は、発芽させた玄米か、三分に精米して食べていますが、精米するとぬかが出てくるので、それによってぬか漬けがつくれます。
ぬか漬けは、ハードルが高くてなかなか自分ではつくれないという人もいるでしょう。
私は、精米したときに出るぬかで即席のぬか漬けをつくっていますが、つくり方はとても簡単です。
保存袋にぬかと塩と水を入れるだけでぬか床の出来上がりです。
そこに野菜を入れてつくるので、量が少なくても袋の外から手で揉めば、半日程度で簡単にできます。冷蔵庫の隅に立てかけて入れておけるので、場所も取りません。
出張で家を空けることが多い筆者には、正式なぬか床を維持していくことは難しいですが、即席ぬか床はいつでもできます。
もし、水が上がったり、すっぱくなったら保存袋ごと捨てることもできます。昔ながらの深い味わいはないかもしれませんが、簡単につくれてとても便利です。
パンは大丈夫?
ひとり暮らしをしている年輩の方に話を聞くと、「朝はパン食で済ませている」という人がとても多いことに驚きます。
昔ながらの日本食をずっと食べてこられた年代の方でさえそうなのです。その背景には、パン食のほうが手軽、安いなどといったこともあるのでしょう。
繰り返しになりますが、日本人の体質にお米は最適なのです。
小麦粉は、もともと寒冷で乾燥した気候の土地でできたものなので、日本人が食べると身体は冷えてしまいます。
パンとご飯を見比べてみればわかるように、パンはパサパサと乾燥しています。もともと乾燥した気候でつくられたものだからです。
もちろん私もおいしいパンは好きですし、食べたい気持ちもわかります。
しかし、朝はパン、昼はうどん、夜はパスタなどと、一日中まったくご飯を食べないという人も増えています。
小麦製品ばかり食べていると身体が冷え、代謝機能を低下させる可能性もあります。近年は小麦粉に含まれるグルテンも問題になっています。
それに比べてご飯は、ほどよく水分を含み粘り気があり、湿度の高い日本の気候に合っています。ご飯は身体を温める作用もあるため、代謝機能を高めたり免疫力をアップさせる効果も期待できます。小麦粉に比べ、日本人の身体に消化・吸収されやすいのは明らかです。
スーパーマーケットなどで、食パン1斤が100円を切るほど安く売られていますが、これも食品添加物などが心配です。スーパーで食パンを買っていたのを、街中のパン専門店で買うようにするだけでも大きな一歩です。
しかし、もう一歩進んで朝のパン食をご飯に替えてみてはいかがでしょうか。ぜひ、再度「お米・みそ汁・ぬか漬け」という和食の良さを見直してみてください。
一般社団法人国際感食協会では、こういった食生活についてのセミナーを開催しております。
「人生が変わるファスティング合宿」では、3日間かけて「生活改善」についても学びます。
そして当協会が発行する「生活改善アドバイザー」の認定証をお渡しします。
(文=宇多川久美子/薬剤師・栄養学博士)
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