胃がんの原因になるということで、注目を浴びているピロリ菌。
胃がんは日本人に多いがんであり、毎年約4万8000人(男性3万人、女性1万 8000人)が胃がん及び胃がん治療のための副作用により亡くなっています。
かわいらしい名前とは裏腹に、ピロリ菌は日本人から目の敵(かたき)のようにされ、今やその除菌が盛んに行われています。
ピロリ菌とは?
ピロリ菌は、胃に住み着いている常在菌です。
日本人のおよそ半数はもともとこの菌を持っていて、50歳以上では7割の人がピロリ菌保菌者といわれています。
常在菌とは、人の身体に共生している微生物で、腸内細菌をはじめ、身体の要所要所にいるものです。
常在菌が免疫を活性化させている場合もあるくらいですから、そもそも憎むべき対象ではありません。
体力が弱り、免疫力が極度に低下したときなどに、常在菌が病気を引き起こすこともある、ということです。
ピロリ菌を持っていると必ず胃がんになる?
ピロリ菌を持っている=胃がんになるというわけではありません。
また、逆にピロリ菌を持っていないからといって絶対にならないともいえません。
実際、ピロリ菌で胃がんになる確率は約15%で、喫煙者ががんになる確率と同程度ともいわれています。
私もピロリ菌を持っていますが、今のところ胃の調子は良好です。
それにもかかわらず、世間では
「ピロリ菌を持っていると胃がんになる確率が20倍に跳ね上がる」
「胃がん患者の98%がピロリ菌保持者だった」
などと騒がれています。
そうした話を耳にすれば、ピロリ菌の除菌を考えたくなるのもうなずけます。
しかし、日本人全体のピロリ菌の保持者の割合を照らし合わせて冷静に考えれば、その数字も当然のことと思うのですが……。
ピロリ菌を排除することばかりを考えず、まずは、「胃を大切にする」ことを考えるべきではないでしょうか?
それには、暴飲暴食をしない、塩分の濃いものをとりすぎない、食事の時間を不定期にしない、よく噛んで唾液をふんだんに出す、過激な食べ物(熱すぎる、濃すぎる、辛すぎる等)を避ける、ストレスをため込まない、などいろいろな方法があります。
胃を大切にしないで、ピロリ菌だけ除去しても安心とはいえません。
しかも、「ピロリ菌の除菌」といいますが、除菌されるのは胃の中のピロリ菌だけではありません。
胃の強酸の中でも生きていられるピロリ菌を除菌するには、強力な抗生物質を4週間飲み続けなければなりません。
4週間飲み続け、そこで除菌できていない場合は、さらに抗生物質を服用することになります。
しかし、抗生物質は身体にとって良い菌か悪い菌かを判別することができません。
身体の中にある常在菌を、よい働きをしているものまで、ことごとく除菌してしまうのです。
ピロリ菌の除菌を行うと
ピロリ菌除去を行うと下痢や便秘をしたりすることがありますが、それは抗生物質が腸内細菌まで殺してしまい、腸内のバランスをくずしてしまったからです。
腸の中には免疫細胞の8割
腸の中には免疫細胞の8割があることがわかっています。
そこに強力な抗生物質を長期間送り込み続けるのですから、ピロリ菌が消える前に、身体のどこかに不具合が出ても不思議ではありません。
ピロリ菌をガンガン叩くことで、別なところに火花が飛び散り、傷つけられている
としたら、何のための除菌なのか首を傾げたくなるというもの。
ちなみに、ピロリ菌には胃液の逆流を防ぐ働きがあり、食道がんや食道炎を抑制する作用も報告されています。
除菌したことで、食道がんになるリスクを高めているかもしれないのです。だとしたら、なんとも皮肉な話ですよね。
(文=宇多川久美子 「薬剤師は抗がん剤を使わない」(廣済堂出版)より抜粋)
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