新米が美味しい季節ですね。
稲作は古く1万年以上も前の中国に起源があるといわれていますが、現在では北緯50度から南緯35度と多くの国と地域で作付けされています。
中でも約90%はアジアで生産されており日本も主産地の一つとなっています。
日本への伝来については諸説あるようですがその歴史は古く紀元前3500年前の縄文時代後期にはすでに稲作が行われており
その始まりは九州地方との説が有力であるといわれています。
今日でこそ日本中で行われている稲作ですが、北海道で稲作が始まったのは江戸時代でありこの頃まで国内生産は不安定であったとされています。
日本の食生活は古来より米を主食とし、副食をほとんどとらないといったものでした。
そんななかで、江戸時代、お江戸では玄米にかえて食感・食味の良い白米を食べる習慣が広まり
将軍をはじめとする富裕層において「脚気(ビタミンB1欠乏症)」が多く発症しました。
この脚気は、江戸での白米の普及にともない一般の武士、さらには町人にも大流行して「江戸わずらい」と呼ばれるようになりました。
明治時代以降は、さらに白米が普及することとなり、全国的に脚気患者はますます増えて死者も1年間に2万を超えるなど、「結核」とならぶ二大国民病といわれるようになりました。
脚気は、ビタミンB1摂取不足によるものですが、既に述べた通り、玄米から精米した白米を主食とし副食を十分にとらない日本人の食習慣に起因します。
この脚気に対し、江戸時代の漢方医は白米にかえて麦飯、蕎麦や小豆を食べさせるといった療法を用いていたとされています。
玄米や蕎麦にはどの程度のビタミンB1が含まれているのでしょうか?
実は、玄米には100g中0.4mgもあり、蕎麦の0.4mg、小麦の0.3mgと比較しても遜色はないのですが
精米してしまうと4分の1、つまり0.1mgになり、精穀した蕎麦や小麦と比較して大きく低下してしまいます。
これに加え、保管時の湿度が高いと玄米の状態でさえ、ビタミンB1の含量が低下することがわかっております。
さらに水溶性ビタミンであるため洗米により流出し加熱する炊飯によってもまたまた低下して
最終的に口にする時には0.02mg以下になってしまうといわれています。
つまり、玄米の20分の1以下ということになります。
このような白米食ばかりで副食をとらない食生活ではビタミンB1欠乏症は起こるべくして起きた
ということになるのではないでしょうか?
現在では、栄養学の見地から食生活の改善が図られ、白米の他に多くの副食からビタミンB1を摂取しているため
脚気などの重篤なビタミンB1欠乏症は少なくなりました。
しかしながら、メタボ対策やダイエットのために、食事回数を減らしたり、偏食などで
潜在的にビタミンB1が欠乏する人が多くなっているといわれています。
事実、近年の国民健康・栄養調査では、ビタミンB1の推奨量を満たしている人は
成人男女においてわずか4人に1人という結果が出ています。
「玄米を食べる」という食文化を見なおしたいですね
玄米にすることで噛む回数も増やすことができます。
よく噛んで味わう「感食」も楽しみたいですね!
我が家では、こんな精米機を使っています。出る米ぬかは糠漬けにもなり、一石二鳥です!
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(文=宇多川久美子)
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