薬を使わない薬剤師の“健康自立ブログ”

鼻水が止まらない!どうやったら克服できる?薬を使わない花粉症対策

毎年この季節になると「鼻水との戦い」、「涙が止まらない」花粉症の方からの相談が絶えません。
現代病の一つで、悩まれている方も多いと思いますので今日は花粉症について書きたいと思います。

花粉症の発症


花粉症は、花粉が人の鼻や目の粘膜に付着するところからはじまります。
ですから、原因となる花粉が飛んでいる時期にだけ起こります。

粘膜にある免疫細胞(リンパ球)が花粉を異物(抗原)として認識すると、抗体(IgE抗体)がつくられます。

次に、花粉が粘膜に付着すると抗体は抗原(花粉)を排除するように働きます。

抗原を見つけた抗体は、肥満細胞を刺激してヒスタミンなどの化学物質を放出させ、抗原を追い出そうとします。

ヒスタミンは粘膜を刺激することで、くしゃみ、鼻水、涙などで花粉を体外に出そうとしているのですね。

花粉症の原因となる7割はスギ花粉で、スギ以外にもヒノキ、シラカバ、ケヤキなどの樹木や、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなどの草花の花粉症もあります。
スギ花粉が1番の原因になるのは、スギ林が全国の森林面積の18%、国土の12%を占めているためで飛散量が少ない北海道や、スギの木がない沖縄ではあくまでスギ花粉でみれば花粉症の患者さんもわずかです。

しかし、同じ場所に暮らしていて、たくさんの花粉が飛んでいるのに花粉症になる人と、ならない人がいます。この差はどこにあるのでしょうか。
体内に侵入してきた異物に対して生まれつき抗体ができやすいかどうかという遺伝的な違いによるとも言われていますが、花粉症は免疫の過剰反応ですからやはり免疫力を整えるということが最大の防御だと思います。
花粉症の方はその日の飛散量だけでなく、過労気味だと症状が重くでたり、しっかり睡眠をとるとあまりくしゃみがでないといった経験をしているはずです。

花粉症の対策として色々なことが言われますが、まずは生活習慣の見直しが一番大切ですね。

花粉症対策

①適度な運動で免疫力を上げる
②バランスの良い食事を心がる
③飲酒や喫煙もほどほどに
④ムリをせず疲れやストレスを溜めない
⑤十分な睡眠をとる

などなど当たり前の健康管理が一番大切ですね
花粉症がひどいから春はキライ!という方もいますが、あたたかな春を気持ちよく迎えるために、日々の基本的な生活習慣を見直しましょう!

花粉症の治療


花粉症の薬はヒスタミンの発生を抑える、発生したヒスタミンの働きを抑える、あるいは直接炎症を抑えるなどして症状を緩和するものです。

抗アレルギー薬

病院で処方される花粉症の薬の多くは抗アレルギー薬といわれるものです。

抗アレルギー薬はヒスタミンの発生と放出を抑えることにより症状を軽くし、また症状が出始めるのを遅らせる効果があります。出てしまったヒスタミンを抑えるのではなく、ヒスタミンの発生そのものを抑えるので予防的効果もあるとされています。
ですから本来なら花粉の飛び始める2週間くらい前から飲み始め、シーズン中は切らさずのみ続けるようにするものですが、症状が出てから病院に駆け込む患者さんも多いですね。

抗アレルギー薬は非常に多くの種類があり、効き目や副作用(眠気など)は個人差がありますが、副作用は比較的少ない薬が多いとされています。

なお、抗アレルギー薬には抗ヒスタミン効果のあるものとないものがありますが、現在はほとんどが抗ヒスタミン効果のあるタイプです。予防効果と即効性の抗ヒスタミン効果を併せ持つ抗アレルギー薬は「第二世代抗ヒスタミン薬」と呼はれています。
代表的なものとしてアレジオン、アレグラ、ジルテックなどがあります。

比較的新しい抗アレルギー薬にザイザルやディレグラがあります。
ザイザルはジルテックの改良版(光学異性体)で、効き目は同じで眠気などの副作用は半分をうたっています。
ディレグラはアレグラにプソイドエフェドリンという鼻づまりを改善する成分を追加した配合錠です。

また、今まで処方薬だった第二世代抗ヒスタミン薬の一部は、スイッチOTCとして薬局で処方箋無しでも買えるようになっています。

抗アレルギー薬は副作用が出にくい比較的安全な薬が多いのですが、薬価が高いものが多いことが難点です。特に新薬は薬価が高く、花粉の季節に飲み続けているとかなりの負担になります。
ちなみに薬価は一日量に換算してアレジオン20㎎1日1回で135円、アレグラ60㎎1日2回で143.8円、ジルテック10㎎1日1回102.3円、新しく発売されたザイザル5mgが1日1回で105.8円、ディレグラが1日2回で249.2円です(いずれも2016年2月現在の薬価)

価格を抑える点ではジェネリックにすることも選択肢のひとつです。アレジオンやアレグラ、ジルテックなどはジェネリックも出ているので、その薬価は1/2~1/5くらいになります。しかし、ザイザルやディレグラはもちろんまだジェネリックは出ていません。

一概には言えませんが、薬価の高い新薬は眠気の副作用が少なく、薬価の安い古くからある薬は眠気も出やすいようです。

抗ヒスタミン薬

抗ヒスタミン薬は花粉によって発生したヒスタミンの働きを抑えます。古くからある薬で、市販の薬にも多く含まれています。 ヒスタミンの働きに直接的に作用するので、症状のひどいとき、花粉の飛散の多い日などに即効的な効果が期待できます。 抗アレルギー薬と比べると、すでに出てしまった症状に対しても効果が実感できます。

抗ヒスタミン薬はくしゃみや鼻水に対しては効果があるものの、鼻づまりに対してはほとんど効果がありません。

副作用は眠気、口の渇き、倦怠感などで、抗アレルギー薬に比べると強く眠気を感じる場合が多いので、抗ヒスタミン薬を飲んだら、車の運転や高所での作業は控えてくださいね。

なお、抗アレルギー薬のうち、抗ヒスタミン作用をもつものを「第二世代抗ヒスタミン薬」と呼ぶのに対して、古くからあるこちらの抗ヒスタミン薬を「第一世代抗ヒスタミン薬」と呼びます。
とても紛らわしいのですが、最近の眠くならない予防効果もある抗アレルギー薬が「第二世代」、古くからある眠くなるけど抗ヒスタミン作用の強いものが「第一世代」と思ってください。

ステロイド剤

ステロイド剤は、本来人体の副腎皮質で分泌されているホルモンを人工的に作り出した薬剤で、ヒスタミンによって引き起こされた鼻の粘膜の炎症、目の結膜の炎症を鎮めます。また免疫系の反応性も低下させるので、アレルギー反応も抑える働きをします。その効果は非常に強力なので、花粉症だけでなく多くの炎症性の疾患での「最後の切り札」的な薬です。
花粉症では主に局所的に点眼、点鼻薬として使われていますが、症状が重い場合は内服薬のセレスタミン(抗ヒスタミン薬との配合剤)なども広く使われています。

強力な効果を持つ反面、ステロイド剤には強い副作用があります。
本来体が持っているホルモンを人工的に与えることで、体の様々な機能のバランスに影響を与えます。
また急に中断すると副腎の萎縮によるリバウンドの危険もあります。花粉症で使用する程度の量であれば大丈夫といわれていますが、長期に渡っての使用は控えた方が良いでしょう。目薬や点鼻薬など局所的な使い方でも目や鼻の感染症や、鼻の粘膜が弱くなる、緑内障の原因になることもあります。

ステロイド注射

ステロイドには前述のような内服、点眼、点鼻の他にステロイドの注射があります。
「注射一本で花粉症シーズンを楽に過ごせる」と一時期流行りましたが、ステロイドの注射は内服に比べ、はるかにリスクが高いものです!

同じステロイドでも内服薬なら、服用して数日のうちに代謝して体外に排泄されるので副作用が出たときは服用を中止することで対応できますが、注射の場合、効果が1ヶ月持続するということは、重篤な副作用が生じた場合でも薬が排出されるまでの1ヶ月間、副作用も持続することになってしまいます。
日本アレルギー学会でも「花粉症に対するステロイド注射は望ましくない」と警告しています。
忙しいサラリーマンの方などからステロイド注射のご相談をよく受けますが、どうしても必要という事情がない限り安易なステロイド注射はすべきでありません。打つとしても医師から十分な説明を受け、リスクについてもよく話し合いましょう

減感作療法

減感作療法は免疫療法ともいわれ、その患者さんのアレルゲンをほんの少しずつ体内に入れ、徐々に増やしていくことでアレルゲンに対する過敏な反応を減らしていこうという治療法です。
花粉症やアレルギー性鼻炎、気管支ぜんそくなどの病気に対して行われています。
治療法には皮下注射と舌下があります。
以前は皮下注射しかありませんでしたが2014年からスギ花粉に対して舌下減感作療法薬のシダトレンが発売になりました。
治療の開始は花粉の季節時に症状が出てから行なうのではなく、数ヶ月以上前から行なわなければなりません。治療期間は、注射も舌下も2年から5年必要です。
減感作療法は根治療法とされていますので他の対処療法より間違いなくお薦めの治療ですが、治療期間が長いので、自宅で服用できる舌下減感作療法にしても数年間にわたって毎日服薬するのはハードルが高いようで、海外での治療実績をみても継続率は低いようです。

レーザー治療

以前のレーザー治療といえば、鼻粘膜を焼いて花粉が吸着しないようにする炭化、蒸散を目的とした治療法でした。
しかし、現在のレーザー治療はむしろ蛋白凝固、変性を目的とした治療を行っているようです。レーザー照射は“粘膜が無いからアレルギーが発症しない”ではなく、“鼻粘膜に花粉が付着してもアレルギーが生じないように粘膜の性質を変える”ことを目的として効果を発揮しているようです。
現在、このようなレーザー治療を行っている施設は、日本では少ないようですが、この治療の利点は両鼻の治療が5分程度と短時間で終わり、治療後の疼痛、鼻出血かなり少ないようです。
あまり知られていませんがこのレーザー治療は保険適用の治療法で負担は1万円程度のようです。1度で効果が出ない時は2度目のレーザー治療をします。

花粉症と食べ物の関係


昭和40年代以降、日本人の食生活の欧米化が進んだことで、肉類の摂取量が増えました。それに伴い日本の食卓は高タンパク・高カロリーになりました。そのような食生活の変化と、花粉症の増加の関連性が指摘されています。
もちろん肉類はアレルゲンではありませんが、長い期間にわたって、高タンパク・高カロリーな食生活を続けていると、花粉症になりやすいと言われています
タンパク質は、免疫機能を高めるためにも必要な栄養素ですが、とりすぎると免疫機能が過剰に働いて、症状がひどく出てしまうこともあるようです。
花粉症が気になる季節は、高カロリー食にならないように脂肪の多い肉類は避けて、赤身肉やささみ、また魚などを適量食べましょう。青魚などに多く含まれている不飽和脂肪酸のEPAやDHAは、アレルギー症状を抑える働きがあることも知られています。

ビタミンやミネラルなどは代謝に欠かせない成分ですが、特にビタミンB6は、免疫機能を正常に維持するのに必要で、不足するとアレルギー症状が出やすくなると言われています。また花粉症の症状は、活性酸素が増えるとひどくなりますからビタミンA、C、Eなど抗酸化作用の高い栄養素をとるようにしましょう。

また、亜鉛が不足すると、免疫機能が低下するので亜鉛を摂ることも大切なのですが、鉄や銅を摂り過ぎると亜鉛の吸収が阻害されてしまうので注意してください。

白い砂糖を多く使った甘い食べ物を食べ過ぎると、炎症を起こしやすくなります。食養生でも、甘いものや冷たい食べ物は「陰性」の食物で身体を冷やすので、血行を悪くし症状を悪化させると言われます。
白砂糖を使ったお菓子の他にも、コーヒーや南国の果物、アイスクリーム、牛乳なども身体を冷やす傾向があるので、症状がひどい時は注意してくださいね

植物油に含まれているリノール酸は、以前はコレステロールを下げる作用があると言われ注目されていましたが、最近では、とり過ぎるとアレルギー症状を促進するということが分っています。
リノール酸は、必須脂肪酸で身体には必要な栄養素ですが、現代人はとりずきる傾向がありますから、植物油を多く使った料理を食べ過ぎないように気をつけてくださいね。
アレルギー予防に役立つ脂肪酸としてはα-リノレン酸があげられます。シソ油やアマニ油エゴマ油などに含まれていますが、とても酸化しやすいので、加熱しないで用いることがポイントです。

唐辛子など刺激の強い香辛料を使った食品やアルコールなどは、粘膜の毛細血管を刺激して、鼻水がひどくなることもあります。

また、タバコの煙に含まれる有害物質も鼻の粘膜を刺激し、体内の活性酸素を増やし、花粉症の症状を悪化させてしまいます。自分だけではなく、周りにいる人のためにもぜひタバコは控えてくださいね。

外食をするときはやはりバランスの取れた和食の定食がおすすめです。野菜や海草、豆類なども意識してとるようにしましょう。

ヨーグルトや甜茶、レンコンなど花粉症に良いとされる食品は、その時食べたら症状が軽くなるといった対処的に使う「薬」のようなものではありません
日々食べることでその効果が発揮されるものですから、「花粉症の症状が出たから食べる」ということではなく普段の食事にもバランスよく取り入れるようにしましょう

つまり!!
できるだけ高カロリーになりがちな食事などは控えめにして、多くの栄養素や成分がとれるようにバランスのよい食事を心がけることが一番の花粉症対策です。

いただく食材に感謝して「感食」を心がけ、花粉の季節も乗り切っていきましょう!

花粉症対策のポイント&・間違い


花粉症対策の一番は何といっても「花粉に触れない、吸い込まない」ようにすることです
そのためにしていることのポイント、間違ってしてしまっていることを考えてみましょう

マスクの着用

これは多くの方が実行していますね。ポイントは顔とマスクの隙間をできるだけなくすことです。またアゴの部分が動くことが多いのでしっかりアゴを覆える大きさのものを購入してくださいね。
インフルエンザ対策などでウイルス用のマスクをお持ちの方も多いかと思います。ウイルスの大きさより花粉の方が粒子が大きいので、ウイルス用マスクならさらに安心です。

メガネの着用

こちらも多くの方が使っていますね。花粉症のつらい症状として眼のかゆみと充血がありますが、普通のメガネをかけるだけでも眼の中に入る花粉の量はかなり軽減できます。
普段コンタクトを使用している方もこの時期だけはメガネにするだけでかなりの効果があると思います。花粉をブロックする形状のメガネもでていますね。
どうしてもコンタクトを使うなら、花粉の時期だけでも使い捨てのワンデーのものにしましょう。外して洗浄しても花粉がレンズに付着して残っているかもしれません。

玄関先で花粉を落とす洋服をはたいてから家に入る

家に花粉を持ち込まないために、玄関先で洋服をはたいてから家にはいる方も多いと思います。しかし、これでは、自分に向かって花粉をまき散らすことになってしてしまいます。家の中に花粉を入れないようにするためには、はたいて花粉を落とすのではなく、濡れタオルやウェットティッシュ、粘着シートなどで舞い上がらせないようにふき取りましょう。

手洗い・洗顔する

あまり実行している方はいないかもしれませんが意外と効果があるのが洗顔です。外から帰ってきたら手洗いと一緒に洗顔しましょう。これだけでも顔の周りの花粉を落とすことが 出来るので、特に目のかゆみ対策におすすめです。
なお「アイボン」のような洗眼液も効果がありますが、使い過ぎるとドライアイの原因にもなりますからご注意くださいね。

こまめに掃除機をかける

こまめに掃除することは良いことですが、掃除機を使うと排気口から花粉をまき散らすことになってしまいます。
床に落ちた花粉は、ぬれ雑巾やフローリングワイパーでふき取りましょう。カーペットの場合は、水拭きではなく粘着シートを使いましょう。

加湿器をつかう

雨の日に花粉の飛散が少ないように、水分を含んだ花粉は床に落ちてくれるので、部屋の中での花粉の飛散量は減ります。しかし、また乾燥すれば空中に飛散してしまうので、床に落ちている間にフローリングワイパーや粘着シートでふき取りましょう。

空気清浄機を過信する

空気清浄機は空中に浮遊している花粉は吸い取ってくれますが、床に落下した花粉は取り除けないようです。床はフローリングワイパーや粘着シートでこまめにふき取りましょう。
空気清浄機を購入するなら加湿機能付きのものを購入しましょう

花粉症に良いとされる食品食べる

ヨーグルトや甜茶、レンコンなど花粉症に良いとされる食べ物には花粉症の症状を緩和してくれる効果があるようです。
しかし、その時食べたら症状が軽くなるといった対処的に使う「薬」のようなものではありません。
日々食べることでその効果が発揮されると考えられるので、花粉症が出てから食べるのではなく普段の食事にバランスよく取り入れるようにしましょう。

まとめ


劇的に効果のある薬は当然リスクも伴います。
薬に頼るのではなく日頃から免疫力をあげるためにバランスの良い食事を心がけましょう!


「健康の自立」をテーマにLINEで情報発信をしています!

私とLineで友達になって健康を情報をいち早く受け取ってみませんか?
今なら宇多川塾生限定動画をプレゼント中!

友だち追加

関連記事一覧

最近の記事

PAGE TOP