6/4発売の『週刊現代』(6/16号)
「市販のかぜ薬で認知症になる」のタイトルで取材記事が載っています
購入して読みたい方はぜひコンビニや書店へ!
ちょっと過大表現なタイトルにも思えますが…
この記事はイギリス医学誌「BMJ」2018年4月25日号に掲載の下記の報告を受けてのものです。
『英国・イースト・アングリア大学のKathryn Richardson氏らの研究によって、うつ病、泌尿器系およびパーキンソン病の治療に用いられる抗コリン薬の使用が、将来的な認知症発症と強く関連していることが明らかとなった。この関連は、認知症と診断される15~20年前の曝露でさえ観察されたという。』
抗コリン薬による「抗コリン作用」は週刊誌の見出しにもなっているように一般的に飲まれている「かぜ薬」でも起こる作用です。
そもそも、「抗コリン作用」とはどのような作用なのでしょうか。
抗コリン作用は、体内にあるアセチルコリンという神経伝達物質の作用を抑える働きのことです。多くの薬剤がこの作用を持っています。その中には抗コリン作用そのものが、薬の効果になっているものもありますが、抗コリン作用が副作用として出てしまうものもあります。
アセチルコリンが作動する主な神経は副交感神経です。胃や気管支、膀胱などの平滑筋を収縮させる作用があるので、アセチルコリンを抑えることで胃痙攣を抑えたり、気管支拡張剤や過活動性膀胱の治療薬としても使用されています。パーキンソン症候群の補助的な治療薬として使用されることもあります。
一方で鼻水や痒みを止める抗ヒスタミン剤や、抗うつ剤は、副作用としての抗コリン作用を持っています。抗ヒスタミン剤はほとんどの鼻炎薬・かぜ薬に含まれています。
また、認知症では脳のアセチルコリン作動性神経の障害が起こっていると考えられています。そこで、認知症の進行を抑制する目的で使用される「ドネペジル(商品名アリセプトなど)」は、脳内のアセチルコリンを増進させる作用を持つ薬です。
もちろん、薬がストレートに脳にいってしまうということではありませんが、抗コリン剤はアセチルコリン作動性神経を抑制する薬ですから、これがそのまま脳に働けば、脳のアセチルコリン作動性神経の働きを弱め、認知症のような症状が出てしまうということも、当然考えられることです。
今までも高齢者に抗コリン剤を使用することで、せん妄状態や、記憶障害や注意力の障害など、認知症のような症状が急性に出てしまうことは、多く報告されていました。このような急性の症状は一時的なもので、服薬を中止することで回復すると考えられています。
今回の研究では、高齢者が長期間、抗コリン剤を服用した場合の影響について考察しています。この研究で問題となっているうつ病・泌尿器系・パーキンソン病に使われる薬は処方箋がないと手に入らない薬ですし、長期的に服用するものなので、週刊現代の見出しのように、市販のかぜ薬を3日間飲んだからと言って認知症のリスクが高くなるというわけではありません。しかし、市販のかぜ薬や胃腸薬を常用しているとしたら…。
今回の研究結果を踏まえ、週刊現代が取材したところによると、新コンタックを販売しているグラクソ・スミスクラインの広報担当は「ご指摘の研究は長期間での結果ですが、新コンタックは長期連用するものではありません。また、長期間の服用については避けるよう但し書に記載しております」。また、エスタックを販売しているエスエス製薬広報担当は「かぜ薬には長期連用について注意喚起をしています。また、今回の論文は65歳以上を対象としていますが、高齢者は服用前に、医師、薬剤師などに相談するよう記載があります」と回答しています。
私の薬剤師の経験から考えると市販のかぜ薬や胃腸薬を長期連用していると考えられる方は相当数いると思われます。
講演等でもいつもお話していることですが、降圧剤を長期連用することで脳に酸素が回りにくくなり認知機能の低下を招くかもしれないといわれています。降圧剤と高コリン作用のある薬を併用すれば認知機能低下のリスクもさらに大きくなるでしょう。
認知症というとまだまだピンとこないかもしれませんが、今お手軽に飲んでいるそのかぜ薬・花粉症治療薬・胃薬等が将来、認知症を発症させることになるかもしれないということを覚えておいてくださいね。
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