「湿布」の有害物質は皮膚から吸収される
「経皮吸収」という言葉をご存知でしょうか。皮膚に付着する化学物質などの有害物質が、皮膚から吸収される状態を示す言葉です。
皮膚は、外から接触する物質が体内に侵入しないよう、バリアになる働きを持ちます。皮膚のバリア機能を担っているのは主に、表皮の最外層にある角質と皮脂膜です。ところが、洗浄作用の強い薬用石鹸や液体石鹸、ボディーソープなどで身体を洗っていると、皮脂膜がはがされ、角質細胞間に隙間が生じます。
表皮の下にある真皮や皮下組織には細かな毛細血管やリンパ管が通っています。皮膚のバリア機能の落ちているところに化学物質が付着すると、角質を通り抜けて毛細血管やリンパ管に吸収され、体中をめぐっていくことになります。これが経皮吸収の起こり方です。
私たちの生活には、洗浄作用の強い化学物質を含む洗剤があふれています。そうした社会で生きる私たちは経皮吸収の害にさらされているといえます。
何気なく使っている湿布も薬の一種です。
湿布には、炎症や痛みを抑えるため、インドメタシンなどの薬剤が含まれています。インドメタシンの効能は、鎮痛、解熱、抗炎症作用です。口から飲む解熱鎮痛剤と同様の作用を持つのです。
つまり、解熱鎮痛剤と同様の副作用を有すると考えるのが当然です。
実際に、インドメタシンの副作用は、消化器や呼吸器、筋肉に現れやすいことが示されています。これを長期間くり返し使っていると、胃腸に潰瘍ができやすくなる、筋肉がやせて細くなる、喘息症状を悪化させるなどの副作用のリスクを高めます。
通常、解熱鎮痛剤を口から飲むときには、次の服用まで6時間以上あける、決められた量だけ飲むなどの用法・用量を守るでしょう。ところが、貼り薬や塗り薬は使い方が適当になりやすいもの。そこに外用薬の危うさがあります。
湿布薬は捻挫などの他に、腰痛や肩こり痛、筋肉痛などのときに使用することが多いでしょう。湿布薬を貼る範囲が広かったり、連日くり返し使ったりしていれば、経皮吸収される薬剤の量も多くなり、副作用のリスクも高まります。
「貼り薬や塗り薬は、口から飲む薬と違って、作用する部分が限定的だから、副作用の心配はない」と思われがちですが、経皮吸収のリスクを考えれば、そうとはいい切れないことを、私たちは知っておく必要があります。
湿布薬は痛みを抑えるだけの薬
湿布薬は、痛みを抑えるためだけの薬で、痛みのもとを治す働きはありません。これは他の薬も同じです。痛みの原因をとり除くためには、血行をよくして、酸素と栄養を患部に行き渡らせてあげることが大事です。
なお「痛みをとるためには、冷湿布と温湿布のどちらがよいでしょうか」と問われることがたびたびあります。
「炎症が起きたらすばやく冷やし、時間が経ってきたら、血行をよくするために温めるとよい」とよくいいますが、
実際にはどちらでもよいでしょう。なぜなら、湿布薬もプラシーボ効果の大きい薬だからです。
湿布を貼って「心地よい」と思う感情が、痛みをやわらげる
炎症がひどくてジンジンしているときには冷湿布の冷たさが心地よいでしょうし、血行の悪さが痛みを引き起こしているならば温湿布が心地よいでしょう。湿布を貼ってみて、「心地よい」と感じるほうを使えばよいのです。ただし、使用前には必ず説明書を読み、副作用のリスクを確認し、用法・容量を厳守しましょう。
湿布は手づくりすることもできます。冷やしたい場所に保冷剤を当て、温めたい場所には電子レンジで温めた濡れタオルを当てるだけで痛みはやわらぐはずです。
(宇多川久美子著書:『その「1錠」が脳をダメにする』より抜粋)
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