薬を使わない薬剤師の“健康自立ブログ”

止めたいのに、止められない・・睡眠導入剤を何年飲みつづけても不眠が治らない理由

病院でもらう睡眠導入剤を何年飲みつづけても不眠が治らない理由

今回は病院で処方してもらう睡眠剤・睡眠導入剤についてお話しします。

睡眠導入剤はそれほど特別な薬ではない


病院で処方される睡眠薬は「睡眠導入剤」と呼ばれるものがメインです。「ハルシオン」「デパス」といった名前は、ちょっと睡眠導入剤を調べたことのある人ならご存知でしょう。

実はこれらの薬は案外というか意外にというか、簡単に処方されています。病院に行って「眠れないんです」と言うと、たいがいの診療科で処方してもらえます。あなたの行きつけの内科や婦人科、あるいは整形外科でも、「先生、最近、よく眠れないんです」と訴えれば、睡眠導入剤を処方してもらうことができます(もちろん、すべてとは言いませんが)。それほど特別な薬ではないということです。

注意してほしいのは睡眠導入剤の種類はいろいろあって、寝つきが悪いのか、夜中に目が覚めてしまうのか、早朝覚醒して眠れないのか、などの症状によって処方する薬が違うということです。ですから、お医者さんには「どう眠れないのか」ということをしっかり伝えて、的確な薬を処方してもらってくださいね。

たとえば寝つきが悪ければ「ハルシオン」などの超短時間型、寝てもすぐ目が覚めてしまうなら「レンドルミン」などの短時間型、もっと寝ていたいのに朝早くに目覚めてしまうなら「ネルボン」などの中時間型の薬になります。

いま病院で処方される睡眠導入剤の多くは、ベンゾジアゼピン系と呼ばれる薬です。有効成分が脳内の「GABA 受容体」という部分に結合することで、脳の活動をスローダウンさせるのが特徴。それによって不安や緊張をやわらげ、眠気を誘うというわけです。副作用は比較的少なく、依存性もそれほど高くありません。

とはいえ、ベンゾジアゼピン系は本来、1か月程度しか連続服用してはいけない薬です。ところが現実には何か月も続けて服用している人がとても多いのです。何年も飲みつづけている人も珍しくありません。たとえ「副作用が気にならない」としても、それは気にならないだけで副作用はあります。眠気があるのは当然として、一時的に不安や緊張が高まったり、気持ちが不安定になったり、倦怠感やうつ症状が生じることがあります。また、薬を常用することによって薬の効能は確実に落ちていきます。

病院でもらう薬もやっぱりプラセボ?


何年も睡眠導入剤を飲みつづけている人に聞いてみると、「でも量は増えていないんです」と言います。量が増えたり副作用で困ることはない、と。何年も飲みつづけて耐性ができない薬はありません。ということは、その人にとって睡眠導入剤はすでに「これを飲めば眠れる」という「お守り」になっている可能性があります。つまり効いているのはプラセボ効果であり、それ自体が「常用量依存」という副作用のひとつです。

といって、その人に「プラセボ効果だから止めてみたら?」とアドバイスしてみたところで、おそらく止められないでしょう。止められるぐらいなら、とっくに止めているはずです。本人も薬を飲みつづけたいとは思っていないでしょうし、できれば止めたいと思っているはずだからです。実際に止めたこともあるけれど、その時やっぱり眠れなかった、という経験もあるかもしれません。

服用が慢性化している場合、薬を徐々に減らしていくのが最良の方法です。1錠飲んでいたのを半錠にしてみる。それで眠れるようになったら4分の1錠にしてみる。それで眠れるようになったら、飲まない日を挟んでみる。といったふうに。いきなり止めるのは危険です。病院で処方された薬は処方通りに飲むのが原則。減らし方もお医者さんと相談して決める必要があります。

就寝時間も長さも人それぞれです


最近は、寝つきが悪いのも、朝早く起きてしまうのも「睡眠障害」と呼ばれます。しかし睡眠の取り方は人によって違うものです。睡眠時間も、4時間で十分と言う人もいれば、9時間寝ないと寝た気がしないという人もいます。よく「7時間寝ましょう」などと言われますが、これはあくまでも目安であって、7時間寝なくちゃいけないわけではありません。

睡眠負債という言葉もよく耳にするようになりましたが、私自身の睡眠時間は4時間くらい。今のところ心身が人より早く老化しているということもないようですし、目覚めも爽やかです。疲労が取れないということであれば睡眠負債も考えられますが、適正な睡眠時間にも個人差があるのではないでしょうか。

眠り方は人それぞれ。夜22時〜2時までが成長ホルモンが分泌するとゴールデンタイムだからこの時間帯に寝ましょうとか、部屋は真っ暗にして寝ましょうとか、いろいろなメソッドが紹介されていますが、実際のところ、成長ホルモンは22時に寝なくてもどこかで分泌されるでしょうし、真っ暗な部屋がコワイ人は豆電球をつけて寝ればいいと思います。

それを22時に寝なきゃとか、部屋を真っ暗にしなきゃと思うほうが、よほどストレスになると思うのです。「7時間、朝までグッスリ眠れない私は異常だ」と思えばそれは睡眠障害になるでしょうし、たとえ昨夜は3時間しか眠れなくても、「昼間、泥のように寝ちゃったからいいや」と思えれば、それは障害ではなくなると思います。眠れない人に「もっと気持ちを楽に」と言っても響かないかもしれませんが、「自分は睡眠障害だ」と思い詰めること自体が大きなストレスになると思います。

薬に頼る前に毎日できることは朝起きること


眠れない原因は、自律神経の乱れです。自律神経が乱れる理由はストレスだったり、不規則な生活だったり、運動不足だったりといろいろあるわけです。寝つきが悪い、夜中に目が覚めてしまう、そんな眠りに関する悩みをもつ方は、まず生活習慣の見直してみましょう。

基本中の基本は、朝起きて、朝日を浴びることです。これをせずに「眠れない」と言っている人はけっこう多いんですよ。朝日を浴びることで、セロトニンという人を活動的にするホルモンが分泌されます。そのセロトニンが14〜15時間後にメラトニンという眠りに誘うホルモンに変わります。セロトニンがしっかり分泌しなければメラトニンも生成されず、うまく眠れません。まずは自然の睡眠剤である自分のメラトニンをしっかり活用しましょう。

それから、眠れない人の傾向に運動習慣の少なさがあげられます。オフィスでデスクワークの多い人はどうしても運動不足になりがち。ですから、たとえばちょっと早起きして朝日を浴びながら散歩してみる。通勤時にひと駅、歩いてみる。そんな運動習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。

夜はシャワーで済ませず、お風呂に入ることも有効です。裸になって湯船に浸かるのが日本の生活文化ですが、やはり心身ともに大きな開放感があると思います。もちろん、ぬるま湯で。身体がリラックスして眠気を誘う副交感神経が活発になります。熱いお湯だと交感神経が刺激されて、目がバッチリ覚めてしまいますからね。

眠れない日が続くときは、お薬に頼る前に生活習慣を見直してみる。それでもどうしても眠れないという場合、思いがけない病気がひそんでいる可能性もありますから、あまりがまんせずに受診しましょう。

(小学館働く堅実女子のお悩み解決サイトSuits-woman.jpより転載 )


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