宇多川久美子公式LINE@言葉のくすり箱アーカイブ2018年1月
■2018年1月22日配信(動画同時配信)
こんにちは。薬を使わない薬剤師 宇多川久美子です。
今日も「言葉のくすり箱」を開けてくださってありがとうございます。
インフルエンザかな?と思ったらまずやること
今年もインフルエンザがかなり猛威をふるっているようですね。昨年秋にはワクチンが足りないという報道もありましたが、無事供給されているようですよ。それでもやはりインフルエンザが大流行してしまっているんですね。予防注射を打っているのに流行ってしまうのはなぜなんだろう。ということも含めて、インフルエンザについて何回かにわけてお伝えしていきます。
今回は「インフルエンザかな?と思ったらまずやること」についてお話しします。
インフルエンザとかぜ、何が違うのか
「インフルエンザと風邪と何がちがうのですか?」とよく質問されます。かぜもインフルエンザもウイルス感染によって発症します。違うのはウイルスの種類です。インフルエンザの場合、検出キットも開発されているので確定することができますが、風邪の場合はウイルスの種類もとても多く確定することができません。
かぜとインフルエンザの症状の違いについてですが、一般的に、インフルエンザの症状は、かぜよりも「急に」「激しく出る」という特徴があります。インフルエンザウイルスの潜伏期間は短いので、感染すると比較的早く発症します。しかし、「急に激しい症状」はA型の時に多くみられ、今年のようにB型が流行ると激しい症状や高熱がでないこともあり見分けることが難しいかもしれませんね。
「かぜかインフルエンザかハッキリしない場合、どうしたらいいですか?」という質問もよく受けますが、インフルエンザも風邪もウイルス感染でその対処法は同じと考えてくださいね。
インフルエンザだと思っても、病院に行けないときもあるでしょうし、夜間、急に発熱することもあるでしょう。そんなときの対処法は、水分を十分に摂って、温かくして寝ることです。かぜを引いたときと同じです。無理をしないことが大切です。
しかし、市販のかぜ薬は飲まないでくださいね。インフルエンザだった場合、まれにかぜ薬に含まれている解熱剤が重篤な副作用を引き起こすことがあるからです。
ボルタレンやポンタールなど、ある種の解熱鎮痛剤はインフルエンザには使用しないで下さい。特に、インフルエンザ脳症に罹ったお子さんに、ボルタレンを使うと死亡率が高くなるとされています。
だからといって、解熱剤を使わなければインフルエンザ脳症に罹らないという事でもありません。
通常、インフルエンザが疑われる時には「アセトアミノフェン」という解熱鎮痛剤が処方されます。アセトアミノフェンは坐薬・シロップ・細粒・錠剤と色々な剤型があるので、赤ちゃんから大人まで使い勝手がよく、現在までの報告ではインフルエンザ脳症に罹ったお子さんが使用しても死亡率が高くなるという事はありません。
アセトアミノフェンは市販の薬としても購入することができます。処方薬では「カロナール」「アセトアミノフェン」、子ども向けの坐薬では「アルピニー」「アンヒバ」、市販薬では「タイレノールA」「ラックル」、子ども向けの市販薬には「小児用バファリンチュアブル」などがあります。いつもと違うゾクッが来たら、かぜ薬はひかえたほうが安全です。どうしても市販の薬を買うときには薬剤師さんに相談して購入しましょう。また家にある薬を飲む場合は、箱に書いてある成分名をしっかり確認してから服用してくださいね。
次回はインフルエンザのお薬「タミフル」についてお話します。
今日も最後まで読んで下さってありがとうございました。
元気はつらつ健やかな一日でありますように。
■2018年1月22日配信(動画同時配信)
こんにちは。
薬を使わない薬剤師、宇多川久美子です。
今日も「言葉のくすり箱」を開けてくださってありがとうございます。
今回はインフルエンザの処方薬「タミフル」について考えてみましょう。
48時間以内なら病院に行ったほうがいい?
いきなりですが、インフルエンザに治療薬はありません。 抗インフルエンザ薬としては、内服薬の「タミフル」、吸入薬の「リレンザ」そして「イナビル」、入院を必要とする患者さん向けの点滴薬「ラピアクタ」があります。他にA型インフルエンザにはパーキン
ソン病などの治療に使われる「シンメトレル」というお薬が処方されることもあります。
タミフルの乱用によってタミフルが効かないウイルスも出現しています。また、タミフル服用によって「異常行動」が起こるのではないかという懸念もあり、9歳~19歳の患者さんにはタミフルは第一選択薬とはなっていません。現時点では、タミフルは「9歳未満は使用できるが、使用した場合には異常行動の恐れがあることを家族に説明すること」とされています。
タミフルには「10代の患者さんには原則として使用を差し控えること」という指示がありますが、10歳代の患者さんに使用できない薬ではありません。「10歳以上の未成年は、合併症、既往歴などからハイリスク患者とされる場合を除いて原則として使用を中止する事」とされています。更に、平成28年12月16日から、生後2週目以降の赤ちゃんにも、タミフルを健康保険で処方できるようになりました。それでも、何とか抗インフルエンザ薬を手に入れようと、辛い体を押して病院に行くのは、タミフル」や「リレンザ」でインフルエンザが治ると思っている方が多いからですよね。
しかし、これらの薬でもインフルエンザウイルスを退治することはできません。できるのは「ウイルスをこれ以上、増殖させない」ということです。インフルエンザウイルスは発症後48時間後に体内での増殖がピークになるといわれています。ですから48時間以内に「タミフル」を飲めば効果がある、というわけです。発症してからだいぶ経って受診して「タミフルを出してもらえなかった」という方もいると思いますが、これは、「今からタミフルを飲んでももうウイルスはピークを過ぎていて意味がない」ということなんです。
一方で、発症から48時間経っていないからといって、なんとか病院に行ってタミフルをもらおうとする方もいます。しかし、その効果についてはよく考えたいところです。たとえば発症から1日以上、経っているとします。(発症とはゾクッときた、発熱など、自覚症状が出た時点と考えてください。)時間の経過とともにウイルス数はすでにピークに近づきます。ここでタミフルを飲んだところで、回復は1日か2日、早くなるかどうかでしょう。そのベネフィットに対し、満員電車に揺られ病院に行って、混んでいる待合室
で待たされ……、どれだけ体力を消耗するでしょうか。つらい体を押してでも病院へ行って薬をもらうか、家でゆっくり寝て治すか、どちらがいいかです。ここは冷静に考えてくださいね。
インフルエンザといえどもかぜの一種と捉えれば、高熱が出るのは、体がインフルエンザウイルスと闘っている証拠です。熱を出すことで免疫力を高め、ウイルスを退治しようとしているのです。安静に寝ていれば、やがて熱は下がり、治ります。その免疫力を最大限
高めるためには他に余分なエネルギーを使わないこと、すなわち寝ていることがいちばんです。とはいえ、学校に通っているお子さんであれば、インフルエンザに罹ったという証明書がないと欠席扱いになってしますし、病院に行かずにひたすら安静にしている…ということは現実には難しいですね。
現役の薬剤師をしていたころ、この季節の夜間診療所は高熱を出したお子さんで待合室も溢れんばかりでした。発熱してすぐに受診してインフルエンザ検査をしても陰性と出てしまうお子さんが多くて、初めにお話した解熱剤アセトアミノフェンの坐薬だけ処方されま
す。学校でもインフルエンザが流行っていて、おそらくインフルエンザに感染しているのだけれど、検出キットでは陰性と出てしまうとタミフルは処方できないのです。「ウイルスの数が少なくてまだ出ないから明日また小児科を受診して検査を受けてくださいね。」
って。高熱でフーフーいってるお子さんをタクシーに乗せて夜間診療所に来て2時間も待ってやっと診察室にたどり着いたのに、今日はタミフル出せないから明日また検査してください…って。こんなことなら家で寝かせてあげていた方が体力も使わないですみましたよね。もらえると思っていたタミフルももらえなくてお母さまのお怒りもごもっともです。
無理してA型・B型って調べるために連日、家から出て病院に行くことも、ますます流行らせる原因になっていると私は思うのですが、みなさんはどう思われますか?抗インフルエンザ薬の添付文書には「抗ウイルス薬の投与がインフルエンザ感染症の全ての患者に対して必須ではないことを踏まえ、患者の状態を十分観察した上で、使用の必要性を慎重に検討すること」と明記されています。
次回はインフルエンザの予防注射についてお話します。
今日も最後まで読んで下さってありがとうございました。
今日も元気はつらつ健やかな一日でありますように。
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