最近は、高額な費用をかけて人間ドックを受ける人が増えています。
メタボ健診は国が定めた内容にのっとって行われますが、人間ドックに法的な決まりはありません。
検査項目から受けたいものを選び、内容によって費用も変わってきます。
10万円を超してしまうことも珍しくないでしょう。
検査費がとくに高騰するのは、CT(コンピュータ断層撮影法)検査やMRI(磁気共鳴画像法)検査などの高度な専門検査を受けた場合です。
これらの検査を受けることで、脳卒中や心筋梗塞を起こす可能性や、がんなどの腫瘍の有無を調べられます。
ただし、血液や尿などの単純な検査と違い、X線撮影やCT検査は、受ければ放射線を被曝することになります。
2015年4月、朝日新聞の一面に医療被曝に関する記事が掲載されました。
この記事を読み、大きなショックを受けた方も多かったと思います。
日本は欧米諸国と比べても医療被曝の高い国で、「医療被曝大国」と呼ばれているのです。
朝日新聞の記事によれば、「日本は年間のCT検査が約3650万件(2000年)で、人口当たりの件数が世界で最も多い国の一つ」であり、「国民1人当たりの医療
被曝は先進国平均の約2倍とのデータもある」といいます。
過剰な医療被曝量をせめて欧米並みにまで抑えたいと、統一基準が初めて設けられました。
基準をつくったのは、日本医学放射線学会や日本診療放射線技師会など12団体で構成される「医療被ばく研究情報ネットワーク」です。
日本の検査技術は高く、中国などからわざわざ人間ドックを受けにくる人も増えています。
最近では観光プランの目玉として組み込まれています。
CT検査では、X線を使って身体の断面を撮影していきます。
仮に「1ミリの腫瘍も見逃さない」と自負する医療機関であるならば、それは「1ミリ単位で被曝する」ことを意味しています。
医療被曝に対して何の基準もない無法地帯のままではいけないと、「せめて欧米並みに」と定められたのが、今回の基準です。
ただし、この基準に法的規制はなく、あくまでも目標値です。
ではなぜ、医療被曝が問題なのでしょうか。
最大の問題点は、がん発症のリスクを高めてしまうことにあります。「がん早期発見のために検査を受け、がんのリスクを高めて帰る」
人間ドックはこうした側面を持つのです。がん細胞ががん化するときを、自ら感じとることはできません。
しかし、医療被曝のリスクを冒してまでの早期発見が、本当に必要なのでしょうか。
日本は今、2人に一人ががんになり、3人に一人ががんで亡くなると推計されています。
「2人に一人ががん」という高い数字には、早期発見に積極的な国民性が表れているのでしょう。
がんも自覚症状のないまま進行する病気ですから、自ら検査を受けに行かなければ、「2人に一人ががん」という高い発見数にはなり得ません。
しかし、早期発見が成功しているのならば、なぜ、3人に一人もの人ががんで命を落とす事態になっているのでしょうか。
早期発見したがんは、もしかしたら発見しなくても自らの免疫力で、自然治癒していたものなのかもしれません。
早期発見することが、がんを確実に減らす良薬にはなっていないのではないでしょうか?
(文=宇多川久美子「その一錠が脳をだめにする」より抜粋)
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