患者さんの多くは、病院で処方してもらった薬なら絶対安全だと思い込んでいるようですが、実は広くつかわれている薬でも、ときとして副作用が出ることがあるので注意が必要です。
たとえば、コレステロールの薬(脂質異常症治療薬)の中には、副作用として筋肉痛が出る薬があります。
薬を処方するとき、同時に薬の説明書を出すようになってきましたが、それには、注意事項として、「筋肉痛、脱力感、発熱、せき、喘(ぜん)鳴(めい)、呼吸困難などの症状が現れた場合は、すぐご連絡ください」などと書いてあるはずです。
でも、「筋肉痛、脱力感」などと書かれていても、それほど気にする人はいないでしょうし、仮に多少の違和感があっても、「そういえば、筋肉痛や脱力感が出るって書いてあったな」と思う程度で無視してしまっているのではないでしょうか。
しかしその症状は、実は「横紋筋融解症」という病気である可能性が高いのです。
横紋筋融解症とは、骨格筋が壊(え)死(し)を起こして筋細胞の中の成分が血液中に浸み出し、筋肉が次々と切れていくという病気です。そのため、筋肉痛や脱力感などの症状が現われ、放っておくと、次第に疼(とう)痛(つう)やまひ・筋力減退・赤褐色尿などの症状が出てきます。重傷の場合、急性腎不全になってしまうこともあるほどです。
事故や負傷などによる外傷的要因や、脱水症などが原因で発症しますが、コレステロールの薬や抗精神病薬、あるいは漢方薬などでも発症することがあるとされていますから、注意が必要です。
それにもかかわらず、薬を出されるときに、そこまで詳しく説明してくれるお医者さんも薬剤師もほとんどいません。考えられる副作用を全部患者さんに伝えていては、怖くなって飲むことをやめてしまうかもしれません。
せいぜい、「筋肉痛が出ることがありますが、症状が出たときにはすぐに来てくださいね」と言われるだけでしょう。
本来ならば、お医者さんは患者さんに対して、どのような方針で治療するかを説明し、患者さんからの同意を得る必要があります。この「インフォームド・コンセント」はしっかり行なわれているでしょうか。お医者さんは多忙でなかなか時間がとれないし、患者さんも、あえて聞こうとする人は少数派です。
中にはお医者さんにそんなことを聞くと気分を害されるんじゃないかと、質問したいのに遠慮してしまう人もいるようです。
でも、それでは自分の健康を守ることなんてできません。
「ちょっと待ってください。じゃあ、その薬を服用したとき、どんな副作用が出るんですか? その確率はどれぐらいですか? もし薬を服用しなければどうなるんですか?」と、自分が納得できるまで聞き、そのうえで薬を処方してもらうぐらいの姿勢が必要なのではないでしょうか。
(文=宇多川久美子 著書「薬で病気は治らない」~薬を使わない薬剤師が実践する27の健康法~より抜粋)
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