「風邪でも絶対休めないあなたへ」その風邪薬が風邪を悪化させる理由。市販薬の副作用1220例中、死亡例はなんと24例?

「風邪でも絶対休めないあなたへ」その風邪薬が風邪を悪化させる理由。市販薬の副作用1220例中、死亡例はなんと24例?
「風邪を治す薬はない」とか、「風邪を治す薬を発明したらノーベル賞ものだ」という言葉を聞いたことがありません? おそらく、多くの人は聞いたことがあるのではないかと思います。 でも、カゼをひいたら病院に行って薬をもらったり、市販薬を買ったりしますよね。 テレビや新聞にも盛んにカゼ薬のコマーシャルが出て、「カゼをひいたら早めの○○」とか「カゼかな、と思ったら○○」などとうたっています。 さらに今話題の「風邪でも絶対休めないあなたへ」ブラック企業か?と思わせるようなCMが話題になっていますよね。 では、風邪薬は効くのか効かないのか・・・。 いったいどっちが本当なのでしょうか? 正解は、「風邪を治す薬はない」です。 人類はまだ、風邪のウイルスを退治する薬を作れていないのです。 風邪薬に入っている成分は、あくまでも「咳止め・鼻水止め・熱冷まし」であって、「咳治し・鼻水治し・熱治し」ではありません。 したがって、風邪の原因であるウイルスを退治して風邪を治すのは、風邪薬ではなく、私たち自身に備わった自然治癒力なのです。

ではなぜ、多くの人は風邪をひくと風邪薬を飲むのでしょうか?

おそらくそれは、長年続けて来た習慣だからだと、私は思います。あなたも子どもの頃、風邪をひいて咳が出たり熱が出たりすると、お母さんに「たいへん! お医者さんに行かなくちゃ」とか、「カゼ薬を飲んで寝なさい」と言われたのではないでしょうか。 そして、病院でもらった薬や市販の風邪薬を飲んで寝ると、次の日には咳が止まったり熱が下がったりして、楽になったのではないでしょうか。 そんなことを何度も繰り返すうちに、「風邪をひいたら風邪薬を飲む」という習慣と、「風邪薬を飲むと楽になる」という感覚とが、ワンセットで身についてしまったのです。 さらに、繰り返しコマーシャルを見るうちに、言葉は悪いのですが〝洗脳〟されてしまった、ということもあるでしょう。 「新成分○○配合」とか、「速攻!」などと言われると、いかにも効きそうな気がします。 なかには、「市販薬はあまり効かないけれど、病院でもらった薬はよく効く」とか、「病院で抗生剤をもらって飲むとカゼが治る」という人もいます。 確かに、医師の診断を受けて出してもらう処方箋薬は、市販の薬よりもきつい成分が入っていたり、同じ成分でも量が多かったりするため、市販薬より作用が強いとは言えます。 けれども、カゼのウイルスを退治できないという意味においては、市販薬と同様です。 また、カゼをひいて病院に行くと抗生物質を出されることも多いのですが、これは念のために出されるだけ。稀に細菌性の風邪もありますが、普通の風邪はウイルスが原因ですから、 細菌を殺す薬である抗生物質では治りません。「抗生物質で風邪が治った」のは、おそらくプラセボ効果で、「よし、これで大丈夫だ!」と思ったことで免疫力が上がり、自分の力で元気になったのです。

風邪薬を飲むと、よけい風邪が長引く?!

「でも、風邪薬を飲めば楽になるのだから、薬は身体をサポートしてくれているのでは?」という人もいると思います。 確かに、あまりにも咳がひどくて眠れないとか、鼻が詰まって息が出来ないといった場合は、風邪薬を飲んで症状を抑え、体力を温存するのも一つの方法です。 ただ、基本的には、風邪薬を飲むとよけい風邪が治りにくくなってしまいます。 そもそも、なぜ咳や鼻水が出たり熱が出たりするかと言えば、それは私たちの身体がウイルスと闘っているからです。 咳や鼻水は、身体がウイルスを排除しようとして起こる免疫反応ですし、熱が出るのは、身体がウイルスと闘うのに有利な態勢を整えた結果です。 風邪などのウイルスは低温の方が増殖しやすいのに対し、免疫細胞は体温が高い方が活発に働くという性質があります。 そのため、ウイルスが侵入すると、私たちの身体は熱を上げてその増殖を食い止め、免疫細胞を活性化して攻撃力を高めようとするのです。 それなのに、咳や鼻水を止めたり、熱を下げたりしてしまったら、どうでしょう? ウイルスを身体の外に排出できず、増殖も抑えられず、免疫力も低下してしまいます。その結果、かえってカゼが長引いてしまうのです。

私たちに備わった「自然治癒力」とは?

「自然治癒力」と「免疫力」という言葉が出てきましたので、ここで簡単に説明しておきましょう。 自然治癒力とは、私たちの身体に生まれつき備わっている、自分で自分の健康を守る力を指します。自然治癒力には、大きく分けて以下の3つの機能があります。

恒常性維持機能

1つ目が、体内の環境をいつも一定に保つための「恒常性維持機能」です。 たとえば、私たちの身体は暑くても寒くても体温が変わりません。暑ければ皮膚表面の血管を広げて血液を冷やしたり、汗をかいて身体を冷やしたりし、寒ければ汗腺を閉じて汗が出ないようにしたり、筋肉を震わせて熱を発生させたりするからです。同様に私たちの身体は、血圧を一定に保ったり血糖や血中脂質を一定に保ったりして、体内の環境が変わらないようにしているのです。

自己再生機能

2つ目が、傷を修復するための「自己再生機能」です。転んで擦りむいたり、包丁で切ってしまったりしても、私たちの身体は自然に血が止まり、傷が癒えて、元通りに血管や皮膚がつながります。これが自己再生機能で、たとえ手術で皮膚や臓器や血管を切っても傷口がふさがるのは、この能力のおかげ。医師が縫うから傷口がふさがるわけではなく、自己再生するから傷が治るのです。

自己防衛機能

3つ目が、外から体内に入って来た異物、すなわち細菌やウイルスなどと闘うための「自己防衛機能」です。これは「免疫機能」のことで、異物と闘うための細胞(白血球)を「免疫細胞」と呼び、その能力を「免疫力」と呼びます。 免疫細胞には、体内に入って来た異物を食べるマクロファージ、異物の特徴をほかの細胞に知らせる樹状細胞、体内をパトロールして異物を見つけると攻撃するNK細胞など、さまざまな種類があり、それらが複雑に作用し合っています。

早く治すには食べないとだめ、は間違い

風邪を治すのが自然治癒力である以上、風邪をひいたときにするべきことは、身体が自然治癒力を充分に発揮できるようにすることです。 要するに、エネルギーを消耗しないように、温かくして寝るのがいちばん。水分補給は必要不可欠ですが、ものを食べる必要はありません。 よく、病気になると「栄養を補給しないと治らない」といって、食欲がないのに無理に食べる人がいますが、これは逆効果です。食物の消化吸収にはエネルギーが要るため、食べるとそちらにエネルギーが取られてしまい、ウイルスとの闘いに割ける分が減ってしまうのです。 風邪をひくと食欲がなくなるのは、身体が「食べないでほしい」と言っているからですし、だるくなるのは「動かないでほしい」と言っているから。 身体の声に耳を傾ければ、どうするのがいちばんいいか、わかります。その証拠に動物は、具合が悪くなると何も食べずにひたすらじっとしていますよね。 薬を飲んで症状を抑え、いつも通りに仕事をして夜遅くまで動き回る。カゼをひいたとき、最もやってはいけないのが、このパターンです。これでは薬が切れるとカゼがぶりかえし、再び薬を飲むことになり、もっと体調が悪くなるという悪循環に陥ってしまいます。

市販の風邪薬を飲んだだけで、死ぬこともある?!

ところで、先ほど「処方箋薬は市販薬より作用が強い」と述べました。では、市販薬は処方箋薬より作用が弱いから安全かというと、実はそうではありません。市販のカゼ薬でも、非常に重い副作用が出ることがあるのです。 そもそも、薬には主作用(効き目)があれば、必ず副作用もあります。薬の効き方は人によって違いますし、同じ人でも体調によって違いますから、ときには重篤な副作用が出てしまうこともあるのです。こう言うと、 「市販薬でも、すごく大量に飲めば死ぬこともあるとは思うけれど、普通に飲んだだけで死ぬようなことはないでしょ」 と、思う人が多いのではないでしょうか? ところが、あるのです。2007~2011年の5年間で、メーカーから厚生労働省に報告された市販薬の副作用1220例中、死亡例はなんと24例。 しかも内訳は、カゼ薬(総合感冒剤)が12例とダントツで、解熱鎮痛消炎剤が4例、漢方製剤2例と続きます。 後遺症が残った症例も15例あり、そのうち8例はカゼ薬です。  風邪薬による副作用の内容も、劇症肝炎、間質性肺疾患、スティーブンス・ジョンソン症候群、中毒性表皮壊死融解症などと、驚くようなものばかり。 スティーブンス・ジョンソン症候群とは、唇やまぶたなどの粘膜がヤケドのようにただれ、身体全体に赤い斑点が広がるというもの。 中毒性表皮壊死融解症は、全身の皮膚の1割以上がヤケドのような状態になり、肝臓や腎臓にも障害が起こって、2~3割の人は死に至るというものです。 ものすごい量のカゼ薬が売れていることを思えば、死ぬ人や重い副作用が出る人の割合はごくわずかです。 けれども、それがあなたやあなたの家族でないとは限りません。 前に飲んだとき大丈夫だったから今日も大丈夫、とも限りません。 それに、これほど重い症状ではないものの、非常に身近な、よく起こる副作用もあります。 その一つが熱中症です。 風邪薬を飲んでゴルフをしたら、熱中症になった! 風邪薬のなかには、鼻水止めの「抗コリン薬」という成分が含まれています。抗コリン薬には、体内の腺から水分が出ないようにする作用があり、そのために鼻水が止まります。 しかし、それと同時に鼻水以外の水分、つまり汗が出るのも止めてしまうため、暑くても汗をかくことができません。すると、汗をかいて熱を放出することができず、体内に熱がこもって熱中症になるのです。 私がまだ白衣を着ていた頃、熱中症で病院に運び込まれた人に「風邪薬を飲んでいませんでしたか?」と尋ねると、「そういえば飲んでいた」と答える人がかなりの数に上りました。 高齢者のなかには予防的に風邪薬を飲む人もいるため、風邪薬を飲んでいて熱中症になるのは高齢者が多いのですが、ゴルフ場で倒れて運ばれた人のなかにも、風邪薬を飲んでいる人たちがいました。 おそらく、「風邪気味だけれども、今日はゴルフの予定が入っている。せっかくだから行きたいし、薬を飲んでおけば大丈夫だろう」 そんな風に思って風邪薬を飲み、炎天下でゴルフをして、汗をかけなくて熱中症になってしまったのでしょう。 ゴルフが大好きで、しかもたまにしか行けないのに、風邪だからといって断るのは悔しいと思います。 でも、身体の声に耳を傾ければ、具合が悪いのにゴルフをするのは、とても不自然なことですよね。 薬を飲まなければプレーできないのなら、今日はゴルフを休んで、体調がよくなってから行っていいスコアを出す。 そう気持ちを切り替えて、自分に優しくなってほしいと思います。 「風邪でも絶対休めないあなたへ」のCMを見て、俺だ。私だ。と思った方も、大事な仕事先で、ウイルスをまき散らして他人に迷惑をかけてまで「休めない」のでしょうか? まずは上司に相談してピンチヒッターを立ててもらうなどの方法を考え、しっかり休んで回復することが第一で、回復したら大事な時に風邪をひいてしまったことをしっかり謝罪して挽回のチャンスを頂く。 そんな考え方でも良いのではないでしょうか?

まとめ

風邪をひいたら、風邪薬がある。そんな考えは捨てて、まずは予防から! 日頃から体温を上げる食事、運動を取り入れて免疫力を高める方法をマスターすることが大事。 そして、風邪のウイルスが蔓延していそうな場所ではマスクより、ウメージトレーニング! 「くしゃみ三回早めの休息」 「風邪かなと思ったら、早めの梅生姜醤油番茶」 それでも風邪を引いてしまったら、水分をしっかりとってしっかり寝る! まずは、自分の免疫力がウイルスと闘うことを想像しながらそれを応援して寝る! 出来るだけすぐに体を温めて、免疫力を一時的に上げてあげるというのが風邪を治す1つのコツではないでしょうか? ・部屋の温度・湿度を上げる ・熱いお風呂に入る ・カイロや蒸しタオルで首の周りを温める ・生姜茶、生姜湯などを飲む ・玉ねぎのみじん切りを作って泣く(祖母の教えのウルトラC) ・その玉ねぎがたっぷり入った野菜スープを飲む 疲れやストレスがたまっていると、ウイルスはそこをついてきます。 予防の観点からも、日頃から疲れやストレスをためないようにしましょう! (文=宇多川久美子「薬を使わない薬剤師の「やめる」健康法 (光文社新書)  」より抜粋)

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