薬では治せない

薬では治せない

[生活習慣病は薬では治せない]

医療が進歩しているのに、なぜ患者が増え続けるのか?

ピカピカの白衣を着て、薬局の窓口でお薬をお渡ししていたころ、「お薬すごく聞いたよ」「スッキリ治った、ありがとね」と言ってもらえることが、とてもうれしかったですし、本当に良い仕事に就けたと心から思っていました。 しかし、薬剤師としての経験を積んでいくうちに、ある大きな疑問を持つようになっていきました。
【医学が進歩すればするほど、患者が増え、薬漬けになっていく・・・】
目の前に立ちはだかる矛盾は、薬剤師である私に とって、徐々に無視できない大きな問題となっていきました。

医療が進歩しているのに、なぜ患者が増え続けるのか?

そんな中、2000年に厚生省(現:厚生労働省)が「健康日本21(21世紀における国民健康づくり運動)」というプロジェクトをスタートさせました。
昭和30年代、高血圧症や糖尿病は、働き盛りの人たちに多い疾患であり、加齢とともにリスクが高まるとして「成人病」と呼ばれていました。
しかし、近年になって長年の生活習慣が影響していることが判明し、更に生活習慣の激変によって成人していな い子供も発症するケースが出てきました。 そのため「加齢によってかかるのではなく、生活習慣の改善によって予防できる疾患」として【成人病】の呼び名を 【生活習慣病】へと置き換えるようになりました。

その流れの中で登場したのが、メタボリックシンドロームと言う病名とメタボ診断です。
ところが、このメタボ診断が問題だったのです・・・。
「ある一定の数値以上を越えたらメタボ」と判断する基準値は、予防的な意味合いも含めて、以前より厳しい設定になりました。
このことによって、今まで健康だった人がメタボ患者と診断されるケースが急増してしまったのです。
まずはじめの判断基準として、腹囲によってメタボ候補者が選出されます。
男性では腹囲85cmとされています。 ある程度の年齢になれば、ほとんどの人はウエスト周りに肉がついてくるものですし、この腹囲は身長が高かろうが低かろうが関係なく適用されますが、大柄な人なら腹囲がある程度あっても不思議ではありません。
「腹囲の正しいはかり方はヘソの高さで巻尺を水平に巻く」とされているものの、ヘソの位置も人によってかなり違います。

それにも拘らず、一律85cmと言う数値が決められているのです。 更に言えば、問題となるのは、内臓脂肪ですが、外からでは皮下脂肪か内臓脂肪かもわかりません。
ところがメタボ診断がスタートして以降、腹囲が一定以上を越えた瞬間に“不健康”とされ、それに加えて血圧が130を越えたりしようものなら、血圧の薬が処方されてしまうのです。

その瞬間から、一生薬と切っても切れない関係になってしまうのです。

薬で数値が下がったのは「治癒」ではない

近くのお医者さんはメタボ検診の結果を見ながら
「生活習慣を改めて下さい」とか「毎日歩くと良いですよ」「少しやせな いとまずいですよ」などと助言はするものの「とりあえず、薬を出して様子を見ましょう」と薬を処方します。

患者さんも薬を出してもらうことで、「これで大変なことにならずに済んだ!」と胸をなでおろします。

しかし、薬を飲んでも対処的に数値を下げているだけで、病気が治ったわけではないのです。

それなのに、薬を出してもらったことで安心してしまい、生活習慣の見直しをしてくれる人は、本当に残念な事ですが、 極めて少ないのです。
もし診断で何らかの病気が発見され、すぐに治療が必要とされるほどの検査結果が出たのなら薬を服用することも必要です。

でも、薬を飲むだけでは意味がありません。
薬を飲んで取りあえず数値を下げつつ、根本的な治療を行わなければ、健康を取り戻すことは出来ません。
特に生活習慣病については、薬はあくまでも補助的なものにすぎず、生活習慣を改めなければ根本的な 問題は全く解消されません。 ところが、多くの方は病院でもらった薬を飲んでさえいれば健康になれると思い込んでいるのです。
薬は飲んでも生活習慣は変えないので、病状は悪い方向にジワジワと進行していきます。
最初は弱い薬で効果があってもそのうち効かなくなり、薬の量が増え、より強い薬を服用しなければならなくなる危険性が高いと言う事です。

最終的に待っているのは、
お医者さんにとって一生のお客様・・・エンドレスな関係が続くことになってしまいます。

 

(最終更新:2017年5月1日)

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