薬を使わない薬剤師の“健康自立ブログ”

薬害被害にあわないために知っておきたい「なぜ薬害問題が起こり続けるのか?」

医学が進歩して、実験や検査の機器も急速に発展しているのに
なぜいつまでも薬害問題が起きるのでしょう?
薬害被害にあわないためにもその理由を考えてみましょう!

子宮頸がん予防ワクチン


近年、「子宮頸がん予防ワクチン」の副作用が大きな話題になっています。
子宮頸がん予防ワクチンは発がん性HPV(ヒトパピローマウイルス)のなかでも、とくに子宮頸がんの原因として最も多く報告されているHPV16型とHPV18型の感染を防ぐワクチンです。海外では100ヵ国以上で使用されているとして、2009年10月に承認され、2009年12月22日から一般の医療機関で接種することができるようになりました。

このワクチンで効果を得るためには3回の接種を行なう必要がありますが、厚生労働省では2010年度から「ワクチン接種緊急促進事業」として、接種費用を助成することとし、接種率がかなり上がったとされています。
各自治体も多くの市民の署名活動などで、無料化を実現しました。
しかし、その一方で、原因不明の体中の痛みを訴えるケースが多数報告されたのです。それを受け、厚生労働省は全国の自治体に対して積極的な接種の呼びかけを中止するよう指示する騒ぎとなりました。

私は、この子宮頸がん予防ワクチンについても「接種すべきではない」と公言していました。
仮に、このワクチンがとても有効だとしても、ウイルスにはたくさんの型があり、このワクチンを接種したからといって、HPVに絶対感染しないとは言えないのです。
インフルエンザワクチンを接種してもインフルエンザにかかる人もいますよね。インフルエンザワクチンも、年によって「アタリ」の場合と「ハズレ」の場合があるのと同じことです。
また、ウイルスはたやすく形を変えることができるので、「新型」といわれるものが出現するかもしれません。
今回の子宮頸がん予防ワクチンと同じように、薬害といわれる問題は、これまでもたびたび起きてきています。

誓いの碑


近年で最大の悲劇は、やはり、薬害エイズ事件でしょう。
みなさんは、厚生労働省の合同庁舎の前庭に、「誓いの碑」が建てられていることをご存じでしょうか。

この碑には薬害HIV(エイズウイルス)感染症の被害者の方々の思いが込められています。薬害エイズとは、濃縮血液製剤(非加熱製剤、米国製)の原料血(けつ)漿(しよう)中にHIVが混入していたため、そこからHIV感染をした事実をいいます。
感染者の多くは、日常的に血液製剤に頼らざるを得ない血友病の患者さんでした。
被害にあわれた皆さんの「二度と悲惨な薬害を繰り返さないでほしい」「亡くなった人たちの無念の気持ちを無駄にしないでほしい」という強い思いを受け、大阪・東京HIV訴訟原告団は、厚生省に「碑」の建立を要請しました。そして、3年の苦しい道のりを経て、1999年8月24日にやっと完成したのです。
碑には次のように刻み込まれています。

誓いの碑
命の尊さを心に刻みサリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する
千数百名の感染者を出した
「薬害エイズ」事件
このような事件の発生を反省し
この碑を建立した
平成11年8月  厚生省

タイトルについて、大阪・東京HIV訴訟原告団は、「薬害根絶誓いの碑」にしてほしいとの要望を出しましたが、最終的に「誓いの碑」となったそうです。
原告団は被害の悲惨さを歴史にとどめ、その教訓を生かして、国は二度とこのような薬害を起こさないことを社会に、すべての国民に誓ってほしいという願いを主張し、建立に至りました。
碑の除幕式の日に原告団が出した声明文はこう結んでいます。

《もとより、こうした碑が建立されることだけで、薬害根絶が実現するわけではありません。厚生省が薬害根絶のためのシステムを絶えず検証し、実践していくとともに、私達被害者を含む国民1人1人が、この碑を拠点として、国と製薬企業が癒着して利益追求に走っていないか、国が患者の人権を軽視していないか等絶えず厳しい監視の目を向けていくことがなにより重要なことです。

この碑が、こうした自戒と監視のシンボルとして十分に機能していくことを願い、そして、そのように機能させることが私達国民の役割であることをここに確認したいと思います》

サリドマイド事件


「誓いの碑」に書かれている「サリドマイド事件」は、睡眠・鎮静剤サリドマイドを妊婦が服用することによって、胎児に奇形(とくに上肢の短縮)を生じた世界的な薬害事件です。
サリドマイドは、西ドイツで開発(1957年10月発売)された睡眠・鎮静剤で、睡眠薬として使用されたのはもちろんのこと、〝つわり〟にもよく効く安全な薬といわれ、多くの妊婦に処方されました。しかし、胎児奇形の危険性の警告後、ただちにヨーロッパの市場から姿を消しました。
それに対して、日本国内では、すべての製品を回収し終わるまでに警告から約2年もかかったのです。そして回収作業が大幅に遅れた間にも、多くの犠牲者が生まれてしまいました。国・製薬企業の責任は非常に大きいと言わざるを得ません。

薬害スモン


「薬害スモン」とは、整腸剤キノホルムを服用することによって、神経障害患者が多数発生した事件のことをいいます。1960年代後半に、日本国内でのみ異常に多くの患者さん(1万人以上)が発生しました。
キノホルムは、「内服しても消化管から吸収されないので安全である」とされていましたが、投与量が多い場合の毒性を危惧する文献は、戦前すでに発表されていました。それにもかかわらず、副作用文献をきちんと検討することなく、劇薬指定をはずし(戦前)、適応症を「アメーバ赤痢」という特殊な疾患から、一般的な下痢症状まで拡大(戦後)したこと、さらには、投与量の制限を緩和したことが、日本国内においてスモン患者が大量発生した原因となっています。

サリドマイドやスモンの事件を知らなかった私も、薬害によるHIV感染が発生した当時には、薬剤師となり、まさに問題の血液製剤を取り扱っていたひとりでした。
それだけに、私には、この「碑」の存在を、多くの方々に知らせていく義務があると、強く思っているのです。

(文=宇多川久美子 著書「薬で病気は治らない」薬を使わない薬剤師が実践する27の健康法 より抜粋)


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